2017年11月25日

ほらをふく


「ほらをふく」は,

法螺を吹く,

である。

法螺吹き,

とも言う。昨今の我が国のトップは,うそつきで,うそつきと,法螺吹きとは違う。

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1046093990

に,

「『嘘をつく』のは、本当のことを言えない理由があって、それをごまかすために『本当ではないこと』を言うことです。つまり、聞き手に、事実に反する情報を与えることが目的です。
『ほらを吹く』のは、自分の話で相手をもっと驚かせたい、感心させたい、という目的で『大げさな話』『想像で膨らませた話』をすることです。(そのために、事実に反する内容も当然含まれます)この話は、話者自身についての話題で、聞き手の『関心をひく』ことが目的です。事実を隠すのが目的ではありません。」

あったことをなかったかのごとく,喋った記録も改竄することをウソつき,という。

「法螺」は,『広辞苑』にこうある。

法螺貝に同じ,
大言を吐くこと,またその話。虚言。
儲けが予想外に多いこと,僥倖,

最後の意味は,あまり使わないが,『広辞苑』には,『日本永代蔵』から,

「これを思ふに法螺なる金銀まうくる故なり」

を引く。ともかく,「法螺」で,ほぼ,

法螺を吹く,

と同義と見える。『江戸語大辞典』の「法螺」の項には,

「山崩れの原因は,深山幽谷に年久しく埋もれていた法螺貝が,精気を得て土中を飛び出して天上する(海中に入るとも)からで,一夜にして地形に大変化が起こり,跡に大きな洞穴を生じるという俗説」

とあり,

法螺の天上,

とも言うらしい。これも,今日使われない。『大言海』は,「法螺」の他に,

寶螺,

とも当て,

「字の音の約。或は,中の洞なる意か。又は,聲のホガラカなる意かとも云ふ。」とある。

そもそも「法螺貝」は,

「大型の巻貝の殻頂を切り,吹き口をつけて吹奏するホルン属の楽器。世界各地でおもに信号,合図に用いる。法螺は梵語で śaṅkaといい,釈迦の説法が遠く響くことをたとえるもので,仏教では諸神を呼ぶための法具とされている。日本へは入唐の僧により密教儀式の法具として請来されたが,合戦での信号など仏教以外の場でも用いられた。修験道では行者のもつ主要な 12の道具のうちの一つであり,もとは山嶽修行の際,悪獣を避けるために用いた。」(『ブリタニカ国際大百科事典』)

で,正確には,「貝」は,

「フジツガイ科の巻き貝。日本産の巻き貝では最大で、殻高30センチ以上になる。貝殻は紡錘形で厚く、殻口が広い。表面は黄褐色の地に黒褐色などの半月斑が並び、光沢がある。ヒトデ類を餌とする。紀伊半島以南の暖海に広く分布。肉は食用。ほら。」(『デジタル大辞泉』)

という(「法螺貝」は,「吹螺」「梭尾螺」とも当てる)。

法螺貝.jpg



『日本語源広辞典』には,

「ホラ(中のうつろな)+貝」

を取るが,『日本語源大辞典』は,

「(法螺の)字音ホウラの略か。法螺貝の中がホラ(洞)で,それがカラ(空)であるのを貝の殻と結びつけたか。法螺貝を吹き鳴らすことが,大言壮語と結ばれた(語源大辞典=堀井令以知)」

としている。『日本語の語源』は,

「〈かくあさましきソラゴト(空言。虚言)〉(竹取)の省略形のソラ(空)はホラ(噓)・ハラ(鹿児島方言)に転音・転義した。『嘘を吐(つ)く』ことを『ホラを吹く』というのは山伏のホラ(法螺)貝と見たからである。」

「法螺を吹く」の「ほら」が,音から来たというのも一つだが,

http://dic.nicovideo.jp/a/%E6%B3%95%E8%9E%BA%E8%B2%9D

の言う,

「日本では嘘つことや大げさに言う人のことを『ほら吹き』と呼ぶ。これは法螺貝が由来となっている。法螺貝は見た目以上に大きな音が出る。そこで予想以上に大儲けすることを『ほら』と呼び、大げさに表現することも『ほらを吹く』と表現するようになった。」

というのも,妙に説得力がある。しかし,ひょっとすると,素人が吹いても,スースーと空気音しか出せない,(音の出ない)空吹きに(実のないという)皮肉な含意を持たせているのではないか,という気がしないでもない。『語源由来辞典』

http://gogen-allguide.com/ho/horafuki.html

は,「ホラ吹き」の項で,

「ホラ吹きの『ホラ』は漢字で『法螺』と書き,法螺貝に細工をした吹奏楽器のこと。そこから,予想外に大儲けをすることを『 ほら』と言うようになり,さらに大袈裟なことを言うことを『法螺を吹く』と言い、そのような 人を『ホラ吹き』と呼ぶようになった。」

とある。とすると,

ほら→予想外の大きな音→予想外の大儲け→大袈裟な物言い,

と転じたということになるが,ちょっとしっくりこない。意味の変化が大きすぎる。『江戸語大辞典』には,

法螺の貝の盃,

が載る。

飲んだ後で,ブウブウ言うしゃれ,

とある。いずれも,『日本永代蔵』の引用となる,

「これを思ふに法螺なる金銀まうくる故なり」

とは,法外の意味をもたせた西鶴の洒落だったのではないか,という気がする。

参考文献;
大槻文彦『大言海』(冨山房)
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
田井信之『日本語の語源』(角川書店)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm

今日のアイデア;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/idea00.htm

posted by Toshi at 05:19| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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