2017年12月18日

もみじ


「もみじ」は,

紅葉,
黄葉,

と当てられる。いずれも,漢語からの当て字のようである。『広辞苑』には,

「上代には,モミチと清音。上代は『黄葉』,平安時代以後『紅葉』と書く例が多い」

とある。秋に,木の葉が赤や黄色に色づくことやその葉を指す。カエデの別称でもあるが,

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B4%85%E8%91%89

に,

「秋に一斉に紅葉する様は観光の対象ともされる。カエデ科の数種を特にモミジと呼ぶことが多いが、実際に紅葉が鮮やかな木の代表種である。狭義には、赤色に変わるのを『紅葉(こうよう)』、黄色に変わるのを『黄葉(こうよう、おうよう)』、褐色に変わるのを『褐葉(かつよう)』と呼ぶが、これらを厳密に区別するのが困難な場合も多く、いずれも「紅葉」として扱われることが多い。」

とする。『デジタル大辞泉』には,

「動詞『もみ(紅葉)ず』の連用形から。上代は『もみち』」

とある。『岩波古語辞典』には「もみぢ(紅葉づ・黄葉づ)」の項で,

「奈良時代にはモミチと清音で四段活用。平安時代に入って濁音化し,上二段活用」

とある。紅や黄色に色づくという意の動詞である。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B4%85%E8%91%89

には,

「もみじ(旧仮名遣い、もみぢ)は、上代語の『紅葉・黄葉する』という意味の『もみつ(ち)』(自動詞・四段活用)が、平安時代以降濁音化し上二段活用に転じて『もみづ(ず)」となり、現代はその『もみづ(ず)』の連用形である『もみぢ(じ)』が定着となった言葉である。
上代 - もみつ例
『子持山 若かへるての 毛美都(もみつ)まで 寝もと吾は思ふ 汝は何どか思ふ (万葉集)』
『言とはぬ 木すら春咲き 秋づけば 毛美知(もみち)散らくは 常を無みこそ (万葉集)』
『我が衣 色取り染めむ 味酒 三室の山は 黄葉(もみち)しにけり (万葉集)』
平安時代以降 - もみづ例
『雪降りて 年の暮れぬる 時にこそ つひにもみぢぬ 松も見えけれ (古今和歌集)』
『かくばかり もみづる色の 濃ければや 錦たつたの 山といふらむ (後撰和歌集)』
『奥山に 紅葉(もみぢ)踏みわけ 鳴く鹿の 声きく時ぞ 秋は悲しき(古今和歌集)』
秋口の霜や時雨の冷たさに揉み出されるようにして色づくため、『揉み出るもの』の意味(『揉み出づ』の転訛『もみづ』の名詞形)であるという解釈もある。」

と詳しい。いずれにしても,秋の葉の色づくのを言ったものらしい。その「もみぢ」の語源について,『語源由来辞典』

http://gogen-allguide.com/mo/momiji.html

は,

「元々は『もみち』と呼ばれていた。 秋に草木が赤や黄に変わることを『もみつ(紅葉つ・黄葉つ)』や『もみづ』ちいい,その連用形で名詞化したのが『もみち』であった。平安時代に入り,『もみち』は『もみぢ』と濁音化され『もみじ』へと変化した。古くは『黄葉』と表記されることが多く,『紅葉』や『赤葉』の表記は少ない。」

色づく意とする。しかし,『大言海』は,

「色は揉みて出すもの,又,揉み出づるもの,されば,露,霜のためにモミイダさるるなり」

と,「モミイヅ→モミヂ」を採る。『日本語源広辞典』も,

「『モミ(揉み)+ツ(出づ)』の連用形名詞化モミヂ」

を採る。しかし,古形が,「もみち(つ)」だとするなら,ちょっと辻褄が合わない。『日本語源大辞典』をみると,しかし,その説を採るのが多い。

色を揉み出すところから,モミジ(揉出)の義。またモミイヅ(揉出)の略(和字正濫鈔・日本声母伝・南嶺遺稿・類聚名物考・槙のいた屋・大言海),

しかし,その他,

モミヂ(紅出)の義。モミ(紅)の色に似ているところから(和句解・冠辞考・万葉考・和訓栞),
モユ(燃)ミチの反(名語記),
モミテ(絳紅手)の義(言元梯),
モミチ(炷見血)の義(柴門和語類集),
マソメイタシの約(和句解),
秋の田のモミ(籾)が赤くなるところからか。チは田地の義(日本釈名),

と載るが,そもそも色づくことを,「モミチ」と言った謂れは分からない。

DSC06535.JPG


なお,
http://mobility-8074.at.webry.info/201510/article_43.html

に,

「紅葉 (もみじ) とは,秋に木の葉が赤や黄色に色づくことです。語源としては,〈色づく〉 という意味から『揉み出 (い) づ』 が音韻変化して『もみぢ』になったと言われています。
ここで大事なことは,植物学の上では『もみじ』という樹木名はありません。『もみじ』とは,あくまで〈葉が色づくこと〉であり,まあ,その延長として〈色づいた葉〉のこともいいますが,樹木を具体的に限定したことばではありません。
ただ,秋に赤や黄色に色づく樹木の中で,『楓 (かえで)』の葉が最もきれいに色づくということから,〈色づく〉という意味での『紅葉 (もみじ)』の代表格である『楓』のことを『もみじ』と呼ぶようになってしまったということです。
なお,『楓 (かえで) 』の語源は,〈葉が蛙の手に似ている〉ことから『蛙手 (かえるで)』と呼ばれていたものが縮まって『かえで』になったとされています。
『椛』『栬』も『もみじ』と読む漢字ですが,本来の『もみじ』を表しているように思えます。」

とあるのが,妥当なのかもしれない。結局,色づく意味で「もみち」と言った,その謂れは分からなかった,ということだろう。

ただ,「椛」の字は,木が花のように色づくという意で造られた和製漢字である。また「栬」の字は,くいを指し,「もみじ」の意とするのは,我が国だけのようである。

かえで.jpg

(ハウチワカエデ)


参考文献;
大槻文彦『大言海』(冨山房)
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%82%A8%E3%83%87

ホームページ;
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