2018年03月10日

サザンカ


「サザンカ」は,

山茶花,

と書く。『広辞苑』は,

「字音サンサクワの転」

とある。「サザンカ」とは,

学名: Camellia sasanqua),ツバキ科ツバキ属の常緑広葉樹,

である。『語源由来辞典』

http://gogen-allguide.com/sa/sazanka.html

は,

「サザンカは,中国語でツバキ科の木を『山茶』といい,その花を『山茶花』と称したことに由来する。『山茶』と呼ばれる由来は,端が茶のように飲料となることから,『山に生える茶の木』の意味である。日本では,中世に山茶花の名が現れるが,当時は『サンザクワ(サンサクワ)』と文字通りの発音であった。これが倒置現象によって,江戸中期頃から,『サザンクワ(ササンクワ)』となり,『サザンカ』となった。古く,『山茶花』は『椿』と同じ意味の漢語として扱われ,『日葡辞典』でも,『ツバキと呼ばれる木の花』と解説されていたが,江戸時代には入り,現在で言う『サザンカ』を指すようになった。」

DSC00687 - コピー.JPG

(サザンカの花)

とある。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%82%B6%E3%83%B3%E3%82%AB

によると,

「漢字表記の山茶花は中国語でツバキ類一般を指す山茶に由来し、サザンカの名は山茶花の本来の読みである『サンサカ』が訛ったものといわれる。もとは『さんざか』と言ったが、音位転換した現在の読みが定着した。」

とある。しかし,

http://www.sato-tsubaki.co.jp/name.shtml

によると,

「万葉時代、奈良朝では隋、唐に遣随使、遣唐使を派遣して日本の特産樹、特産油である椿、椿油が中国に渡ったが、当時の中国文化の中心は北方にあって、そこは温暖な地域で育つ椿の分布圏ではない。したがって、その漢名などあろうはずもなく、日本人のつけた漢名である海石榴、海石榴油の文字が椿、椿油といっしょに導入れたのだ,とされます。(中略)椿は日本から中国へ舶載された数少ない特産物の一つでありました。
 現代では、中国においてカメリア科、カメリア属を指す語は『茶』でありますが(茶科、茶属)、葉や新芽を摘んで茶にするものも『茶』、種子から油を採るものは『油茶』、花を鑑賞するものを「茶花」と呼んでいます。」

とあるので,「山茶花」のもとの「山茶」は,日本から伝来した「ツバキ」に由来するらしい。この説によると,「ツバキ」として献上され,「山茶花」として戻ってきたことになる。しかし,山茶花と椿は,別である。

「ツバキ」は,

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%84%E3%83%90%E3%82%AD#cite_note-2

に,

「ツバキ(椿、海柘榴)またはヤブツバキ(藪椿、学名: Camellia japonica)は、ツバキ科ツバキ属の常緑樹。照葉樹林の代表的な樹木。」

とあり,「サザンカ」は,

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%82%B6%E3%83%B3%E3%82%AB

に,

「漢字表記の山茶花は中国語でツバキ類一般を指す山茶に由来」

とあり,中国へ伝播したときは,「ツバキ」だが,ツバキ類一般に概念が広がり,日本へ「山茶」として戻ってきたときは,「サザンカ」と限定された,ということになるのか。「ツバキ」については,別途触れるとして,

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%84%E3%83%90%E3%82%AD#cite_note-2

に,サザンカとの見分け方として,

「・ツバキは花弁が個々に散るのではなく萼と雌しべだけを木に残して丸ごと落ちるが(花弁がばらばらに散る園芸品種もある)、サザンカは花びらが個々に散る。
・ツバキは雄しべの花糸が下半分くらいくっついているが、サザンカは花糸がくっつかない。
・ツバキは、花は完全には平開しない(カップ状のことも多い)。サザンカは、ほとんど完全に平開する。
・ツバキの子房には毛がないが(ワビスケには子房に毛があるものもある)、サザンカ(カンツバキ・ハルサザンカを含む)の子房には毛がある
・ツバキは葉柄に毛が生えない(ユキツバキの葉柄には毛がある)。サザンカは葉柄に毛が生える。」

と載る。ツバキ(狭義のツバキ。ヤブツバキ)とサザンカはよく似ているが,特に,原種は見分けやすくても,園芸品種は多様性に富むので見分けにくい,とある。

さて,「サザンカ」の語源は,したがって,

http://yain.jp/i/%E5%B1%B1%E8%8C%B6%E8%8A%B1

の,

「中国で、葉が茶に似ていることから『山茶』とよばれ、その花を『山茶花』とした。日本では中世のころは『さんざか』と呼んでいたが、音位転換して現在の『さざんか』と呼ばれるようになった。」(『由来・語源辞典』)

に尽きているのかもしれない。ただ,『日本語の語源』は,異説を挙げ,

「花のない冬,四国・九州の暖地に美しい花が咲き乱れているところからサキサカル(咲き盛る)花と呼んだ。『キ』の撥音便でサンサカ(山茶花)になり,転位してサザンカ(山茶花)という」

としている。もともと「ツバキ」と「サザンカ」は別種としてある。とすれば,「山茶」として逆輸入されたとき,元々あった名を当てたと考えられなくもない。なぜなら,

「山茶は,ツバキ」

と,『字源』にはある。「山茶」が入ったとき,「ツバキ」とは区別するために「サザンカ」に,「山茶」を当てた,とも考えられる。

「音位転換」(おんいてんかん、英語: metathesis)とは,

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9F%B3%E4%BD%8D%E8%BB%A2%E6%8F%9B

に,

「言語の、とりわけ語形の経時変化や発音・発語に関連した言葉で、語を構成する音素の並び順(以下、音の並び)が入れ替わってしまうこと。英語のまま『メタセシス』と呼ばれることもある。
かなとかなが入れ替わる形で(より正確にはモーラを単位として)起こることが比較的多いが、子音だけが入れ替わったり、複数のモーラがまとまって動くようなケースもなくはない。子どもがよく間違える。『タガモ(卵)』『すいせんかん(潜水艦)』『ふいんき(雰囲気)』など。アニメ映画『となりのトトロ』では妹のメイがトウモロコシをちゃんと言えずトウモコロシと言ったり、オタマジャクシをオジャマタクシと言ってしまったりする。北陸では「生菓子」を「ながまし」というように方言として定着する場合もある。」

とある。

http://studyenglish.at.webry.info/201310/article_3.html

には,「シミュレーション」を「シュミレーション」と言ってしまうのもその例としていたが,

「音位転換の中にはすっかり日本語として定着してしまって原形が忘れられているものもあります。(中略)「だらしない」はそもそも「しだらない」という言葉が変化したそうです。和語では濁音を文頭に置くと印象が強くなるためそうなったのではという説があります。」

として,音位転換の例を,

しだらない→だらしない
あらたし→あたらしい(新しい)
さんざか→さざんか
したつづみ→ したづつみ(舌鼓)
あきばはら→あきはばら

等々の例を挙げている。

参考文献;
田井信之『日本語の語源』(角川書店)
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)


ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm

コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1

スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8

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posted by Toshi at 05:03| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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