2018年03月15日

まゆ(眉)


「まゆ」は,

眉,

と当てる。

眉毛(まゆげ),

とも言うし,

まよ,
まよね,
まみえ,
かうのけ,
まゆね,
まよね,

とも言うと,『大言海』には載る。言うまでも無く,

目の上部に弓状に生える毛のこと,

である。『岩波古語辞典』には,

古形マヨの転,

とあり,「まよ」には,

マユの古形,

とある。

『大言海』は,「まゆ」の語源を,

「目上(まうへ)の約転かと云ふ」

とするが,「まよ」が「まゆ」の古形なら,この説は成り立たない。しかし,「まよ」の項で,『古事記』から,

「麻用(まよ)がき濃に,かき垂れ,逢はししをみな」(応神),

を引用しており,「まよ」が『古事記』で使われていることを記している。

『日本語源広辞典』は,「まゆげ」の語源を,

「マ(目)+ゆ・よ(そばにあるもの)+毛」

とする。「まよ」と関わらせている。『語源由来辞典』

http://gogen-allguide.com/ma/mayuge.html

は,

「目の上にあることから、『マノウヘ(目の上)』『マウヘ(目上)』の意味と考えられる。 ただし、古くは『マヨ』と言い、音変化して『まゆ』となっているため、『マノウヘ』『マウヘ』が直接音変化したものではない。『マミ』とも読むことから、「眉」の 呉音『ミ』からとする説もある。 漢字は、目の上に毛があることを描いた象形文字である。」

と,『大言海』説では,「まよ」からの由来がはっきりしない。

Black_eyebrow.jpg

(目の上部にある眉毛 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9C%89%E6%AF%9Bより)


『日本語源大辞典』は,「マウヘ」説以外に,

メウヘ(目上)の約転(日本釈名・名言通),
マユ(目上)の義(柴門和語類集),
マユ(目従)の義(和語私臆鈔),
マウヘゲ(目上毛)の義(日本語原学=林甕臣),
メウヘゲ(眼上毛)の義(本朝辞源=宇田甘冥),
マウヘノケの略転か(風土と言葉=宮良当壮),
マユ(蚕)の義,またマヨケ(両横毛)の義(言元梯),
「眉」の字音から(外来語辞典=荒川惣兵衛),

とある。僕は,古形「まよ」から考えると,

マユ(蚕)の義,

というのは捨てがたい。「繭」の項で改めるが,「繭」も,

まよ,

と万葉集で言われていることもあり,「眉」と「繭」がつながる気がしてならない。ただの素人の語感,

眉という言葉の感覚,

繭という言葉の感覚,

の類似だけに依るのだが,『日本語の語源』は,「マユ(繭・眉)」として,こう述べている。

「『万葉集』に,マユ(繭・眉)をマヨという。マヨゴモリ(繭籠り)・ニヒクハマヨ(新桑繭)。マヨネ(眉根)・マヨガキ(眉書)・マヨヒキ(眉引き)など。雄略記のマユワ(眉輪)王が『古事記』にはマヨワ(目弱)王にかわっている。」

漢字を当てなければ,「繭」も「眉」も「まゆ(よ)」でしかない。同源の可能性は高い気がする。

因みに,「眉」(漢音ビ,呉音ミ)の字は,象形文字で,

「目の上のまゆがあるさまを描いたもので,細くて美しいまゆ毛のこと」

とある。

参考文献;
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)
大槻文彦『大言海』(冨山房)
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
藤堂明保他編『漢字源』(学習研究社)
田井信之『日本語の語源』(角川書店)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm

コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1

スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8

ラベル:まゆ 眉毛
posted by Toshi at 05:03| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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