2018年04月03日

タンポポ


「タンポポ」は,

蒲公英,

と当てる。「文明本節用集」には,

「蒲公草 タンホホ」

とある(『広辞苑』)。『大言海』は,

蒲公英,
蒲公草,

と当てている。そして,

「古名,タナなり。タンはその轉にて,ホホは,花後の絮(わた)のホホケたるより云ふかと云ふ」

としている。

カントウタンポポ.jpg



https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%9D%E3%83%9D

も,

「日本語では古くはフヂナ、タナと呼ばれた。タンポポはもと鼓を意味する小児語であった。江戸時代にはタンポポはツヅミグサ(鼓草)と呼ばれていたことから、転じて植物もタンポポと呼ばれるようになったとするのが通説であるが、その他にも諸説ある。」

とし,その諸説の一つとして,

「和泉 晃一『タンポポの語源 小鼓の音階名「タ」と「ポ」に由来する』」

を載せている。

https://ja.wiktionary.org/wiki/%E3%81%9F%E3%82%93%E3%81%BD%E3%81%BD

は,

「一説に、異称のつづみぐさより、鼓の音のオノマトペ(林甕臣、柳田國男等)。」

を紹介する。『日本語源広辞典』は,この説で,

「語源は,方言の『鼓草(蕾の形からの命名)の小児言葉』にあります。鼓を打つ擬音から,タンポポというのです。」

とする。また,

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1212075167

も,

「もともとは、子供の作った名前ではないかと言われています。たんぽぽは、方言によっては、鼓草(つづみぐさ)などとも言われます。たんぽぽを横から見た形(花が開きかけで、下にふくらんだ萼(がく)がついている、ちょうどXのような形)が、鼓の形をした草だということから、鼓をたたくリズミカルな『たん、ぽん、ぽん』という音のイメージからつけられたのではないかということです。ただ、たんぽぽのどの部分が鼓に似ているのかについては、諸説あって定説はありません。また、『たんぽ』穂、が語源であるとする説、『湯たんぽ』の『たんぽ』と同源ではないかなど、異説もいくつかあります。」

擬音語説で,『擬音語・擬態語辞典』によれば,鼓の音は,

「たんたん」

で,鎌倉時代から見られる,という。『語源由来辞典』

http://gogen-allguide.com/ta/tanpopo.html

も,

「タンポポは,漢字で『蒲公英』と表記するのは,漢方で開花前に採り乾燥させたものを『蒲公英(ホコウエイ)』と呼ぶことからである。タンポポの語源は諸説あり,タンポポの茎を鼓のような形に反り返らせる子供の遊びがあり,江戸時代には『タンポポ』を『ツヅミグサ(鼓草)』と言ったことから,鼓を叩く音を形容した『タン』『ポポ』という擬音語を語源とする説が通説となっているが未詳。」

としつつ,

「古く,タンポポは『タナ(田菜)』,『フジナ(藤菜)』や『フチナ(布知菜)』と称しており,タンポポの『タン』は『タナ』で,『ポポ』は花後の綿を『穂々』の説も考えられる。
 中国では,『タンポポ』を『ババチン(婆婆丁)』と呼ぶが,古くは『チンポポ(丁婆婆)』と言い,『チンポポ』から『タンポポ』になったとする外来説もある。『チンポポ』が『タンポポ』に変化することは十分考えられるが,中国で『チンポポ』が使われていた時期と日本で『タンポポ』と呼ばれるようになった時期に隔たりがあり,この説は採りがたい。」

とする。なぜ 「鼓草」 なのかについては,

http://mobility-8074.at.webry.info/201704/article_41.html

が,

①花茎を短く切って,その両端に切れ目を入れて水につけると,両端が放射状に反りかえって,鼓に似た形状になるから。
②花や蕾を 2 つ,背中合わせにつなげると鼓のような形になるから。

と,二説を紹介している。

DSC00026.JPG


結局,「タンポポ」の語源は,

「鼓草」からくる擬音語説(東雅・日本語原学=林甕臣・野草雑記=柳田國男・たべもの語源抄),
タンは古名タナの転。ホホは花後のワタがほほけているところからとする説(和訓栞・大言海),
タンポ穂の意で,球形の果実穂からタンポ(布で綿を包んで丸めたもの)を想像したとする説(牧野新日本植物図鑑),
「田の穂穂」説。ホホには,ホホケダツ(蓬起)物の意と,ホホ(孛々)と光が四方に放出する意とある(語源辞典・植物篇=吉田金彦),
タマツキフク(玉吹々)説(名言通),

等々に整理できる。「穂」の見方には,

「たな(田菜)」が花の後にできる種子の冠毛が 〈ほろほろと崩れる〉,

という見方と,

冠毛を〈穂〉 に見たてて 〈田んぼの穂々〉 という意味で 「田の穂々」 と呼んでいたことから,

とにわかれるが,要は,

鼓の擬音か,
綿毛(冠毛)の擬態か,

ということになる。個人的には,綿毛の「穂」が印象深いので,そこに由来する

「タンポ穂の意で,球形の果実穂からタンポ(布で綿を包んで丸めたもの)を想像した」

とする説に与したい。

なお,日本に古くからあった在来種のタンポポは,特に関東地方に多く見られたことから「カントウタンポポ」とも言われていたが,

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%9D%E3%83%9D

「在来種は外来種に比べ、開花時期が春の短い期間に限られ、種の数も少ない。また、在来種は概ね茎の高さが外来種に比べ低いため、生育場所がより限定される。夏場でも見られるタンポポは概ね外来種のセイヨウタンポポである。」

のが実情で,両者の見分け方は,

「花期に総苞片が反り返っているのが外来種で、反り返っていないのが在来種。在来種は総苞の大きさや形で区別できる。しかし交雑(後述)の結果、単純に外見から判断できない個体が存在することが確認されている。」

とか。

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ちなみに,中国語でたんぽぽのことを「蒲公英」と言うについては,

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1212075167

によれば,

「この『蒲公英』ですが、古くは『蒲公草』だったようです。草が英に変わったのは『英』が『はなぶさ』と言うことですから、花の形を表現したと言えます。 …『蒲公』ですが、もともとの中国でさえ、わかっていないようです。
『蒲』は、水草の『ガマ』のこと。また『伏せる』という意味があります。また『公』には『雄(おす)』の意味があり、そこから『力強い』という意味を表します。そこから『蒲公英』とは『地に伏せた男性的な花』のことである」

とした説もあるとか。

参考文献;
http://mobility-8074.at.webry.info/201704/article_41.html
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%9D%E3%83%9D
大槻文彦『大言海』(冨山房)
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
山口仲美編『擬音語・擬態語辞典』(講談社学術文庫)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評
http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

posted by Toshi at 04:25| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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