2018年04月17日

瓜二つ


「瓜二つ」は,

縦に二つに割った瓜のように,親子・兄弟などの顔かたちがよく似ていることのたとえ,

という意味だが,『広辞苑』には,

「瓜を二つに割った形がそっくりなところから,兄弟などの容貌が甚だよく似ていることにいう」

とある。この場合,「瓜」とはどの瓜を指すのであろうか。

800px-Makuwauri.JPG


https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%AF%E3%83%AF%E3%82%A6%E3%83%AA

には,

「古くから日本で食用にされ、古くは『うり』と言えばマクワウリを指すものだった。 他、アジウリ(味瓜)、ボンテンウリ(梵天瓜)、ミヤコウリ(都瓜)、アマウリ(甘瓜)、カンロ(甘露)、テンカ(甜瓜)、カラウリ(唐瓜)、ナシウリ(梨瓜)といった様々な名称で呼ばれる。」

とある。さらに,

「種としてのメロン (Cucumis melo) は北アフリカや中近東地方の原産であり、紀元前2000年頃に栽培が始まった。そのうち、特に西方に伝わった品種群をメロンと呼び、東方に伝わった品種群を瓜(ウリ)と呼ぶ。マクワウリもその一つである。」

とある。この「メロン」は,

「インドから北アフリカにかけてを原産地とし、この地方で果実を食用にする果菜類として栽培化され、かなり早くにユーラシア大陸全域に伝播した。日本列島にも貝塚から種子が発掘されていることや、瀬戸内海の島嶼などに人里近くで苦味の強い小さな果実をつける野生化した『雑草メロン』が生育していることから、既に縄文時代に伝わり、栽培されていたと考えられている。日本では古来『ウリ(フリとも)』の名で親しまれてきた。また、中国では『瓜』の漢字があてられた。」

とある。近代以降、ヨーロッパや西アジアの品種群が伝えられると、生物の種としては同じなのだが,

「日本の在来品種より芳香や甘みが強いことが注目されて西欧諸語起源のメロンの名で呼ばれるようになった」

が,日本では,

「生で甘みや清涼感を味わうマクワウリなどの品種群の他に、キュウリ(Cucumis sativus)やシロウリのように熟しても甘みに乏しく、野菜として食べたり、未熟なうちに漬物にする品種群も発達した。」

とか。さて,「瓜二つ」は,『語源由来辞典』

http://gogen-allguide.com/u/urifutatsu.html

に,

「瓜を二つに割ると、切り口がほとんど同じであることから、よく似ているさまのたとえとなっ た。 瓜以外の果実でも断面は似ており、瓜が選ばれた理由は不明であるが、古くから 美人の一つとされる形容に『瓜実顔』があり、そのような良い意味でたとえられる果実であれば、すんなり受け入れられる。 それが『カボチャ二つ』などと言ってしまえば、不細工な二人を表しているとも受け止められる。 余分な印象を与えず、似ていることを表現するのであれば、悪い意味を含まない『瓜二つ』が適している。『瓜二つ』の形が見られるようになるのは、近世に入ってからで、1645年刊の『毛吹草』には、『売りを二つに割りたる如し』とあり、江戸時代の人形浄瑠璃時代物の『源頼家源実朝鎌倉三代記』には,『見れば見るほど瓜を二つ』という形で見られる。」

とあるので尽きる。「瓜」の字は,「スイカ」の項,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/458821689.html?1523818263

で触れたように, 象形文字で,

「つるの間にまるいうりがなっている姿を描いたもので,まるくてくぼんでいる意を含む」

とある。

300px-瓜-bronze.svg.png

(金文・西周 https://ja.wiktionary.org/wiki/%E7%93%9Cより)

和語「うり」は,『岩波古語辞典』は,

「朝鮮語ori と同源」

としているが,『大言海』は,

「潤(うる)に通ず(あるく,ありく)。實に光澤あり」

とし,『日本語源広辞典』も,

「ウルオウ(潤)の変化」

と,水分の多さから来ているとしている。しかし,『日本語源大辞典』は,その他,

ウルミ(熟実)の意か(東雅),
口の渇きをウルホスより生じた語か(名言通・和訓栞),
ウム(熟)ランの反(名語記),
ウツクシの約転(滑稽雑誌所引和訓義解),
ウカリウカリと幾つもなるので,ウカリと名づけたものの中略か(本朝辞源=宇田甘冥),
ヘウリ(匏)の略(言元梯),
朝鮮語oi-ori(瓜)と同源(世界言語概説=河野六郎・万葉集=日本古典文学大系),

とあるが,そのみずみずしさの体感覚から来た,と見たい。

参考文献;
大槻文彦『大言海』(冨山房)
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)
尚学図書編『故事ことわざの辞典』(小学館)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評
http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

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posted by Toshi at 03:48| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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