2018年05月04日

みなづき


「みなづき」

は,

水無月,

と当てる。異称には,

https://ja.wikipedia.org/wiki/6%E6%9C%88

に,

弥涼暮月(いすずくれづき),炎陽(えんよう),風待月(かぜまちづき),建未月(けんびづき),水月(すいげつ),涼暮月(すずくれづき),蝉羽月(せみのはつき),田無月(たなしづき),旦月(たんげつ),常夏月(とこなつづき),鳴神月(なるかみづき),晩月(ばんげつ),伏月(ふくげつ),松風月(まつかぜづき),陽氷(ようひょう),

等々,丁度新暦の七月の感覚がよくわかる異称である。

さて,「みなづき」の語源であるが,『日本語の語源』の言うように,

ミヅノツキ(水の月)→ミノツキ→ミナヅキ(水無月),

と転じたと,されることが多い。『岩波古語辞典も,

「ミは水,ナは連体助詞,多に水を湛える月の意か」

とする。『日本語源広辞典』も,「水+の+月」で,

「農民にとって,耕地に水の最も欲しい,水が重要な月の意です。水無月は当て字です。」

としている。睦月(むつき)以来,旧暦の語源は,ほぼ農事と関わってきた。そのことは,一月から五月まで,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/455932349.html
http://ppnetwork.seesaa.net/article/456805354.html
http://ppnetwork.seesaa.net/article/457607450.html
http://ppnetwork.seesaa.net/article/457762501.html
http://ppnetwork.seesaa.net/article/458763376.html

で触れた通り,一貫している。六月もまた同様,農事と関わるとみてよい。『語源由来辞典』

http://gogen-allguide.com/mi/minazuki.html

も,

「水の無い月と書くが、水が無いわけではない。水無月の『無』は、神無月の『な』と同じく『の』にあたる連体助詞『な』で、『水の月』という意味である。 陰暦六月は田に水を引く月であることから、水無月と言われるようになった。旧暦の六月は梅雨が明けた時期になるため、新暦に当てはめて解釈するのは間違いで、水無月は『水の無い月』とするものもある。 しかし、『水の月』説は新暦以前から伝えられており、新暦に合わせたものではない。また,『水の無い月』の説は梅雨を基準にされているが、梅雨の時期である旧暦五月『皐月』が梅雨に関係していないため不自然で考え難い。」

と,「水の月」説を採る。『由来・語源辞典』

http://yain.jp/i/%E6%B0%B4%E7%84%A1%E6%9C%88

も,

「水無月の由来には諸説ある。文字通り、梅雨が明けて水が涸れてなくなる月であると解釈されることが多いが、逆に田植が終わって田んぼに水を張る必要のある月『水張月(みづはりづき)』『水月(みなづき)』であるとする説も有力である。」

としている。

https://ja.wikipedia.org/wiki/6%E6%9C%88

も,

「水無月の由来には諸説あるが、水無月の『無』は『の』という意味の連体助詞『な』であり『水の月』であるとする説が有力である。神無月の『無』が『の』であり、『神の月』であるということと同じである。田植が終わって田んぼに水を張る必要のある月『水張月(みづはりづき)』『水月(みなづき)』であるとする説もある。」

と,同様である。

『大言海』は,

「田水之月(たみのつき)の轉。田に水を湛ふる月の意と」

とし,「むつき」との関連を強調している。「むつき」,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/455932349.html

で触れたように,『大言海』は,「むつき」の項で,

「實月(むつき)の義。稲の實を,始めて水に浸す月なりと云ふ。十二箇月の名は,すべて稲禾生熟の次第を遂ひて,名づけしなり。一説に,相睦(あひむつ)び月の意と云ふは,いかが」

とし,

「三國志,魏志,東夷,倭人傳,注『魏略曰,其俗不知正歳四時,但記春耕秋収為年紀』

を引いて,多数派の「相睦(あひむつ)び月の意」に疑問を呈して,「實月」説を採っていた。『大言海』は,一貫して農事とのつながりを主張している。「ことば」の言い回しはともかく,趣旨は「水の月」説である。

それでも,異説はあり,例えば,『日本語源大辞典』には,

暑さで水が涸れるところからミズナシヅキ(水無月)の義(奥義抄・和歌色葉・和邇雅・日本釈名・日本語源=賀茂百樹)・滑稽雑誌・東雅・ことばの事典=日置昌一),
ミズナヤミヅキ(水悩月)の義(日本語原学=林甕臣),
農事を皆し尽きる月の義(奥義抄・和歌色葉・日本釈名・古今要覧稿・ことばの事典=日置昌一),
カミナリヅキ(雷月・神鳴月)の略(語彙考・類聚名物考・黄昏随筆・百草露・菊池俗語考・和訓栞),
真夏月の義か。ミとマと通ず(類聚名物考),
巳の月の義(南留別志),
コエミナツキ(声皆月)の義。郭公の鳴きやむ意(名語記),
ミナツヅキ(看懐月)の義(嚶々筆語),

等々。その他,

田植という大仕事を仕終えた月「皆仕尽(みなしつき)」

というのもある。何やら苦心の程にパッとしない。

参考文献;
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)
大槻文彦『大言海』(冨山房)
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
田井信之『日本語の語源』(角川書店)


ホームページ;
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コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
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書評
http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

ラベル:水無月 みなづき
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