2018年06月15日

あめ(雨)


「あめ」は,

雨,

と当てる。

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(歌川広重『名所江戸百景』 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%A8より)

「雨」(ウ)の字は,

「天から雨の降るさまを描いたもので,上から地表を覆ってふる雨のこと」

とある(『漢字源』)が,

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https://okjiten.jp/kanji103.html

は,

「天の雲から水滴が滴(したた)り落ちる」

象形を描いてわかりやすい。『岩波古語辞典』は,

「アマ(天)と同根」

とする。『大言海』は,

「天水(アマミズ),アマミ,アメと約転したる語。東雅,雨『アメとは,天水也』。萬葉集に『妹が目(メ)を欲り』など云へるメは,目見(マミ)の約なり,…ツを略するば,出水(イズミズ),泉。水草,みくさの例あり。雨を,天津水(あまつみず)と云ひ,天水(てんすゐ)と云ふ。沖縄にて,アミ」

とある。

Starkregen.jpg

(移動する雨雲と雨筋 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%A8より)

『語源由来辞典』

http://gogen-allguide.com/a/ame.html

の言う通り,

「雨は、古くから草木を潤す水神として考えられており、雨乞いの行事なども古くから存在する。『天』には『天つ神のいるところ』といった意味もあるため、雨の語源は、 上記『天』『天水』のいずれかであると考えられる。」

雨の語源は、大別すると、

「天(あめ)」の同源説

「天水(あまみづ)」の約転とする説

にわかれる。しかし,

http://www.7key.jp/data/language/etymology/a/ame2.html

に,

「雨が多く、水田や山林など生活に雨が大きく関係している日本では、古くから雨のことを草木を潤す水神として考えられた。雨が少い場合は、雨乞いなどの儀式が行われ、雨が降ることを祈られた。『天』には『天つ神のいるところ』との意味があり、そのため雨の語源と考えられている。」

とあるように,「天」そのものと見るか,その降らせる水にするかの違いで,両者にそれほどの差はない。

『日本語源広辞典』は,

「語源は,天(アメ,アマ)と共通の語源であろうという説が有力です。大言海は『アメ(天)+ミ(水)』説です。アマ(非常に広大な空間)から落ちてくる水が,雨なのです」

とまとめる。

アマミズ(天水)の約転(名語記・東雅・言元梯・名言通・和訓栞・大言海・国語の語根とその分類=大島正健)。
アメ(天)と同語(和句解・日本釈名・日本古語大辞典=松岡静雄),

の二説が大勢だが,しかし,これ以外にも,

アム(浴)の転(嚶々筆語),

という説もある。

アマモレ(天降)の約(和訓集説),

は,天水と同じだろ。

因みに,「雨」が頭にくると,

「雨模様」 は,

「あまもよう」

と訓む。他にも,

「雨粒 (あまつぶ) 」 「雨脚 (あまあし) 」 「雨傘 (あまがさ) 」 「雨靴 (あまぐつ) 」 「雨垂れ (あまだれ) 」 「雨合羽 (あまがっぱ) 」 「雨蛙 (あまがえる) 」

等々。「あま」は,

あめ(雨),

の古形ではあるが,同時に,

アメ(天)の古形,

でもある。「あま(天)」の項で,『岩波古語辞典』には,

「『天つ』『天の』の形で他の語に冠する。アマは,何もないという意のソラ(空)とは異なり,奈良時代及びそれ以前には,天上にあるひとつの世界の意。天上で生活を営んでいると信じられた神々の住むところを指した。」

とある。とすると,

雨=天,

ではなく,やはり,

天水,

と考えるのが妥当のように思える。

参考文献;
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)
大槻文彦『大言海』(冨山房)
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)


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