2018年06月19日

あめ(飴)


「あめ」は,

飴,

と当てる「あめ」だが,古くは,

糖,
餳,

とも書いた,とある(『広辞苑』)。「飴」(シ)の字は,

「『食+音符台(人工を加えて調整する)』。穀物に人工を加て柔らかく甘くした食物」

である。

Mizuame_001.jpg



https://okjiten.jp/kanji2275.html

には,

k-2275.gif



「会意兼形声文字です(食+台)。『食器に食べ物を盛りそれに蓋をした』象形と『農具:すきの象形と口の象形』(『大地にすきを入れて柔らかくする、やわらか』の意味)から、やわらかな食品『あめ』を意味する『飴』という漢字が成り立ちました。」

と異なる由来が載る。『たべもの語源辞典』には,

「台には『よろこぶ』という意味があり,食べてよろこぶものが,飴である。」

とある。しかし,『漢字源』には,「台」は,

「もと『口+音符厶』。厶(イ)は,曲がった棒でつくった耜(シ すき)のこと。その音を借りて一人称代名詞にあてた。」

とある。「臺」(台)の方は,

「『土+高の略体+至』で,土を髙く積んで人の来るのを見る見晴らし台をあらわす。のち台で代用する。」

とあり,そんな意味はないのだが。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A3%B4

によると,

「文献上は、神武天皇が大和の国を平定した際に、『大和高尾』の地で『水無飴』を作ったという記載が、『日本書紀』の「神武紀」にある。
われ今まさに八十平瓮をもちて、水無しにして飴を造らむ
この『飴』は『たがね』と読む。『日本書紀』は神話であり、『神武天皇の時代』とされる紀元前7世紀については不明であるが、同書が編纂された720年(養老4年)には、既に飴が存在していたことになる。
正倉院に収蔵されている古文書に阿米(あめ)という記載があり、飴を意味していると考えられており、8世紀前半には日本で飴が作られていた事が分かる。この当時の飴はいわゆる水飴であったというのが研究者の一致した見解となっており、『阿米』という記載から伺えるように米を原料としていたと考えられている。」

とあり,さらに,『たべもの語源辞典』には,

「飴を『たがね』とよませたのは,米飴(たがね)すなわち『こめもやし』で飴をつくったからである。」

ともある。因みに,「もやし」とは,米を発芽させたもので,

「『米もやし』を使ってでんぷんを糖に変える」

のである(後年には麦芽が使われるようになる)。

既に,

「平安時代には西の京の市に飴市があった。この時代は米のもやしでドロドロの飴をつくった。鎌倉時代には,地黄煎(きおうせん)という飴があった。穀芽の粉末に薬草でもある地黄の汁を合わせて飴にしたものが起こりで,京稲荷前で製したものを,江戸では下り飴といった。職人尽の絵に地黄飴(あまいせんねん)とある。元禄(1684-1704)のころには『あまい』とも『せんねん』ともよんだ。細長い飴袋に『千歳飴』と書く名称の起こりはこれによる。糯米をよく煮て,麦麹の粉と冷湯とを合わせて甘酒のようにして濾過して練ったものを水飴または湿(しる)飴と称した。これをさらに練って固くしたものが堅飴で,膠飴(くろあめ)と称した。さらに練ると白色に変じ,それが白飴である。元和元年(1615)大阪の浪人平野甚左衛門重政が水飴を創製し,伏見に伝わり,後,重政は江戸に出て浅草寺でつくった。それが千歳飴である。」

と飴の歴史である。

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(飴売渦松 一英斎芳艶画 文久元年(1861)http://www.kabuki-za.com/syoku/2/no25.htmlより。江戸の飴売りに扮した市村羽左衛門。飴売りは、このように三味線をひいたり、鉦(かね)をたたいたり、また唐人飴売りは唐人風の服装で、チャルメラのような笛を吹いて飴を売り歩いたといいます。)

さて,「あめ(飴)」の由来である。『語源由来辞典』

http://gogen-allguide.com/a/ame_candy.html

は,

「 あまい(甘い)」の「あま」が交替した語。」

とあり,『たべもの語源辞典』も,

「マイのアマがアメになった」

としているが,『大言海』は,

「日本釈名(元禄)下,飲食,飴『アメは,アマ也。アマキ意。メと,マと通ず』。俗語考(橘守部)『アメ,アマメ「飴也」云々,田舎人の,アマメとも云ふことのあるを思へば,甘滑(あまなめ)の約れる言なるべし。云々,味噌豆より出る滑(なめ)を,直にナメと云ふ類也』。又,或は,甘水(あまみ)の約転か(雨も,天水(あまみ)の約転)。沖縄にては,アミと云ふ」

と,定めていない。

『日本語源大辞典』は,

「(あまいの)語根『あま』(甘)に,名詞を形成する接辞iが付き,転成したもの」

としつつ,諸説を載せている。

アマ(甘)の転(日本釈名・東雅・箋注和名抄・言元梯・言葉の根しらべの=鈴木潔子・日本古語大辞典=松岡静雄),
アマナメ(甘滑)の約(俗語考),
アマケ(甘食)の転(名言通),
アは甘,メはなめて食べるからか(和句解),
アメ(雨)と同源。雨は万物を養うことからという(古語類音=堀秀成),
アマミチ(甘満)の反(名語記),

等々。やはり,「甘い」の「あま」からは抜け出せない。

参考文献;
大槻文彦『大言海』(冨山房)
藤堂明保他編『漢字源』(学習研究社)
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)


ホームページ;
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posted by Toshi at 03:56| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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