2018年06月21日

あま


「あま」は,

海人,

と当てるが,

蜑,

とも当てる。『広辞苑』は,

あまびと(海人)の略,

とある。『岩波古語辞典』には,

白水郎,

とも当てるとし,

「白水は中国鄮県の地名。白水郎は海上交通の役を司った者,るいは白水の漁夫の意。鄮県の白水郎の名に親しんだ日本の留学生が,それをアマの表記に用いたものであろうという。」

とある。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%B7%E4%BA%BA

には,

「九州の一部などでは白水郎と記されている。このことから、中国・四国地方より東では潜水する海人を海人と呼び、九州地方では白水郎と呼んでいたことが伺える。」

とある。

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『大言海』は,

白水郎,
泉郎,

とも当てる。

「海人(あまびと)と云ふが成語なるべし。アマビトを下略して,アマとのみ云ふは,杣人(そまびと)ヲ,ソマとも云ふが如し。…アマウドは,アマビトの音便(旅人,たびうど,商人,あきうど)」

とあり,

字類抄「海人,漁人,アマビト」
庭訓往来(元弘)「水主(カコ),楫取(カンドリ),漁客(スナドリ),海人(アマウド)」,
箋注和名抄「泉郎,阿万」

等々を引く。ただ,『日本語の語源』は,

「漁夫のことをウミビト(海人)といったのがアマビト・アマ(海士。海女)になった。」

と,

ウミビト→アマビト→アマ,

と転じたとする。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%B7%E4%BA%BA

によると,

「男性の海人を『海士』、女性の海人を『海女』と区別して記されることがあるが、いずれも『あま』と呼ばれる。海士を一文字にした『塰』という和製漢字(合字)があり、鹿児島県種子島の塰泊(あまどまり)という地名に用いられている。
中国の水上生活者を意味する『蜑』(たん)、『蜑家』、『蜑女』という表記を用いて、『あま』と読む例が近世の文書に見られる。例えば、『南総里見八犬伝』に、『蜑家舟』と書いて『あまぶね』と読む語が登場する。
その他、『海人』と書いて、うみんちゅ(沖縄方言)、かいと(静岡県伊豆地方など)と読む場合もある。大韓民国では済州島などに『海女(ヘニョ)』と呼ばれる女性を中心とした海人がいる。」

とあり,『魏志倭人伝』には,

倭の水人は沈没して魚、蛤を捕るを好み、文身は、亦、以って大魚、水禽を厭(はら)う。

とある。海人である。

アマビト→アマ,

ウミビト→アマビト→アマ,

で決まりかと思うが,その他にも,

アヲミ(蒼海)の轉語アマ(海)から転じた(和訓栞),
アはアヲウミ(蒼海),マはスマヰ(住居)の略(日本釈名・関秘録),
ウナベ(海部)の約転か(雅言考),
アマヘ(蜑戸)の略(名言通),
アフギマネク(仰招)の意(和句解),

等々。

参考文献;
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)
大槻文彦『大言海』(冨山房)
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)
田井信之『日本語の語源』(角川書店)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評
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posted by Toshi at 03:57| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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