2018年08月12日

カキ(蠣)


「カキ」は,

牡蠣,
蠣,
牡蛎,
蛎,

等々と当てる。「蠣」(漢音レイ,呉音ライ)の字は,

「会意兼形声。右側の厲(レイ)は,ごつごつしたの意を含む。蠣は,それを音符とし,虫を加えた字で,ごつごつした殻を被った貝」

だが(「蛎」は「蠣」の異字体),「牡蠣」の字に,「牡」を当てたのは,「カキ」は,

「イタボガキ科の二枚貝。イタボガキは雌雄同体である。同一の貝に雄の時代と雌の時代が交互に現れる。カキという字を牡蠣と,牡の字をつけてしまったのは,ある時季のカキを調べたとき牡ばかりだったからであろう。」

としている(『たべもの語源辞典』)が,『語源由来辞典』は,

http://gogen-allguide.com/ka/kaki_kai.html

は,

「牡蠣が同一個体に雌雄性が交替に現れる卵生か卵胎生の雌雄同体で,外見上生殖腺が同じであるため,すべてオスに見えたものと思われる。」

としている。なかなか「カキ」は厄介で,

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%82%AD_(%E8%B2%9D)

によると,

「雌雄同体の種と雌雄異体の種があり、マガキでは雌雄異体であるが生殖時期が終了すると一度中性になり、その後の栄養状態が良いとメスになり、悪いとオスになるとされている。」

という。

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「カキ」を食べた歴史は古く,ローマ人は,2000年以上前に養殖を始めたとか。日本では,『古事記』の

「允恭天皇のくだりら衣通(そとおり)姫が天皇に献じた歌『夏草の相偃(あいね)の濱の蛎貝(かきがい)に足蹈(あしふま)すな明して通れ』とあるのを初めとする。『延喜式』には,『伊勢より蛎および磯蛎を進む』とあるから古代からカキを食べていたことがわかる。」(『たべもの語源辞典』)

とある。

Crassostrea_gigas_Marennes_p1050142.jpg



「カキ」の語源は,『語源由来辞典』

http://gogen-allguide.com/ka/kaki_kai.html

は,

「牡蠣は,掻き落として取ることから「かき」になったとする説や,殻を欠き砕いて取ること から「かき」になったとする説,「掻貝(かきかい)」の意味などあり,牡蠣の殻を取るため の動作を語源とする説が多く,妥当な説と考えられる。 その他,「か」は「貝」,「き」は『着』の意味からという説もあるが, 説得力に乏しい。」

と,「カキ」を捕獲する動作を語源と見做す。『大言海』も,

「カキ介とも云ふが正しきか(或は,カキ殻(がひ)か)。石より掻き落とす意,又は,殻を缺き砕く意なるべし」

と,それに連なる。『たべもの語源辞典』は,

「カキの名は,石から掻き落としてとることからといわれるが,カキの貝殻が欠けることから,と,その身を掻き出して食べることから『かき』としたものである。」

と,食べる行為の方を採る。しかし,『日本語源広辞典』は,

「『欠く,掻く,の意の連用形名詞化』の語,貝殻を欠き(掻き),そして肉を取る貝の意です。」

と,

「かく(掻く,欠く)」そのものの名詞化,

とする。たぶん,これが一番正鵠を射ている,と思う。

『日本語源大辞典』には,その他の説として,

カキカヒ(掻貝)の意(日本古語大辞典=松岡静雄),
殻の相着きしをいうか(東雅),
コリキ(凝貝)の約転(言元梯),
カは貝,キはキル(着)の意(和句解),

等々が載るが。

参考文献;
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
大槻文彦『大言海』(冨山房)
清水桂一『たべもの語源辞典』(東京堂出版)
藤堂明保他編『漢字源』(学習研究社)


ホームページ;
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コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
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posted by Toshi at 04:59| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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