「タイ」は,
鯛,
と当てる。「鯛」(チョウ)の字は,
「魚+音符周(まんべんなく調和がとれている)」
で,「たい」を指す。「鯛」が「たい」を指すので当てたが,しかし,
「正しくは棘鬣魚(きょくりょうぎょ)である」(『たべもの語源辞典』)
とある。『字源』には,
紅魚,
銅盆魚,
ともある。
(タイ科マダイ属 マダイ https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AF%9Bより)
https://zatsuneta.com/archives/001742.html
には,
「漢字の『鯛』は、中国の文献に『骨の端が脆もろい魚』という意味の記載があるが、タイは歯も顎の骨も硬く、ひれには丈夫な棘があり、『骨の端が脆い魚』ではない。そこで、もう一つの意味である『調和のとれた魚』が考えられる。まんべんなく調和がとれていて、どこでも(周=あまねく)見ることができる魚である。」
とある。日本では一般的に,
「高級魚として認知されているが、日本人以外の民族で、この魚を『魚の王』とみなしている例はほぼ皆無である。」(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AF%9B)
という。日本人好みなのだろう。万葉時代から上等の魚とされた,という。
「『延喜式』に『平魚(たいらうお)』とあるのは,タイのことである。」(『たべもの語源辞典』)
とある。『岩波古語辞典』には,
「醤酢(ひしほす)に蒜(ひる)搗き合(か)ててタヒ願ふ」
と,万葉集から引き,「和名抄」の,
「鯛,太比(たひ),味甘令無毒,貌似鰤(ふな)而紅鰭者也」
を載せている。
『岩波古語辞典』は,「たひ(鯛)」の語源を,
「朝鮮語tomi(鯛)と同源」
とする。『大言海』は,
「平魚(タヒラヲ)の意と云ふ。延喜式に平魚(タヒ)とあり,玉篇に,魚名。崔禹錫,食経『鯛,似鰤而紅鰭』とありて,當れり。朝鮮にて道味(どみ)魚」
とし,この「平魚」説が大勢である。『日本語源広辞典』も,
「タイラ(体型がタイラな特徴の魚)」とし,『語源由来辞典』
http://gogen-allguide.com/ta/tai.html
も,
「他の魚に比べ側扁した体が特徴的であることから、『たいら(平ら)』の『たい』と同源と考えられ、歴史的仮名遣いは『たひ』で『平ら』も『たひら』なので一致する。漢字も『調和のとれた魚』の意味があり、均整のとれた側扁に由来している。日本では赤い色がめでたい色とされており、また『タイ』が『めでたい』に通じることから、古くから縁起の良い魚とされ、現代でも祝いの席には鯛の尾頭つきが出される。」
と,平魚説であり,『たべもの語源辞典』も,
「平魚と書かれるように,平らな魚,タイラウオが略されてタイとなったのである。」
とする。「延喜式」に「平魚」とある以上,これが妥当なのだろう。
『日本語源大辞典』には,その他,
えびすが釣る魚であるところから,メデタイの義か(和句解),
三韓の方言から(東雅),
イタヒラ(痛平)の義(日本語原学=林甕臣),
とあるが,「平魚」説には勝てない気がする。
ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
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書評
http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95
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