2018年08月23日

ささ(笹)


「ささ」は,

笹,
篠,
小竹,

と当てる。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AB%B9

によると,広義には,竹とは,

「イネ目イネ科タケ亜科のうち、木本(木)のように茎が木質化する種の総称である。通常の木本と異なり二次肥大成長はせず、これは草本(草)の特徴である。このため、タケが草本か木本かは意見が分かれる(『木#学術的な定義を巡って』も参照)。ただし、タケの近縁種は全て草本で、木本は存在しないので、近縁種に限った話題では、近縁の完全な草本と対比して、タケは木本とされることが多い。」

とし,その生育型から,

狭義のタケ,
ササ(笹),
バンブー (bamboo),

の3つに分けられる,その「笹」である。

800px-Sasa-palmata-winter.JPG



その違いは,

「バンブーは地下茎が横に伸びず、株立ちとなる。大型になり、熱帯域に多い。
タケは地下茎が横に伸び、茎は当初は鞘に包まれるが、成長するとその基部からはずれて茎が裸になる。
ササはタケと同じく地下茎が横に伸びるが、茎を包む鞘が剥がれず、枯れるまで残る。
一般にササはタケより小さいが、一部には逆転する例もあり、オカメザサはごく小さなタケ、メダケは大きくなるササである。」

とある(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%82%B5)。

『字源』によると,「笹」は,國字とあるが,『漢字源』には,

「『竹+世(何代にもはえる)』の会意文字か」

とあり,さらに,一説に,

「『竹+葉(小さい竹の葉)』の会意文字とも」

とあるので,見解は別れているようだ。「ささ」は,

くまざさ,ちまきざさ,など小形の竹の総称,

とある。「篠」(ショウ)の字は,

「竹+條(細いすじ)」

で,「しのだけ」を指す。幹が細く矢柄に用いる。「ささ」は,

小竹,

と当てるように,「ささ」は「細」,小さい意である。「ささ」(細小・少)のみで,

「小さいもの,細かいものを賞美していう」

とあり,「ささ蟹」「ささ濁り」等々と用いる。その「ささ」の意の可能性はある。

『大言海』は,「ささ」を二項に分ける。ひとつは,

小竹,
細竹,

と当てて,

「細小竹(ささたけ)の下略。或は云ふ,葉の風に吹かれて相觸るる音を名とし,竹の異名としたるなりと」

とし,

ささだけ,又は竹の異名,

とする。いまひとつは,

笹,

と当て,

「(小竹)の語の,一種の竹の名に移りしなり(神榊(さかき)の榊となり,薄(すすき)の芒(すすき)となりし類)。細小(ささ)は,自ら低きをいふこととなる,笹の字は,和字なり(節(よ)を世(よ)に寄せて作れるか))」

とあり,「笹」は,やはり『字源』のいう通り,國字ということのようである。

こうみると,「細小」の「ささ」が「笹」となったか,と思われる。擬音語「ささ」は,『擬音語・擬態語辞典』によれば,「ささっ」は,

「鎌倉時代から『ささ』の形で見える。」

とある。新しい使い方のようなのである。『デジタル大辞泉』に載る「ささ」の用例は,

水が勢いよく流れたり注ぎかかったりするさま。「あがきの水、前板までささとかかりけるを」〈徒然・一一四〉
風が吹くさま。「扇をひろげて、殿上をささとあふぎ散らして」〈盛衰記・三〉
動きの速いさま。「人々のささと走れば」〈大鏡・道長下〉
大勢の人々が口々に物をいってさわがしいさま。また、一時に笑うさま。「聴聞衆ども、ささと笑ひてまかりにき」〈大鏡・道長下〉

と,鎌倉時代である(古くは,「さざ」と濁ったようである。あくまで,「水の擬音」として使われてきた。「ささ」と風音に使うようになったのが,鎌倉時代以降ある)。やはり,たぶん竹と比べて「細小(ささ)」から,「ささ」となったと見るのが妥当に思える。『日本語の語源』も,

いささたけ(細小竹)

から「ささ」となったとしている。『日本語源広辞典』には,

「『ササ(わずかな,ちいさい,細,小)』です。万葉集の『わが宿のイササ群竹吹く風の』のイも,ササも小さい意味です。笹の字は国字です。『竹+世(葉擦れの音)』。竹の葉擦れの音を文字にしたものです。」

とある。その他,『日本語源大辞典』には,

サシノハ(小篠葉)の義(日本語原学=林甕臣),

も載るが,「細小」説の一種とみていい。

なお,酒を「ささ」というのは,女房詞かららしいが,

「さけ」の「さ」を重ねたものとも,
中国で酒を竹葉といったことからとも,

いうらしい。

参考文献;
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)
大槻文彦『大言海』(冨山房)
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
田井信之『日本語の語源』(角川書店)
藤堂明保他編『漢字源』(学習研究社)
簡野道明『字源』(角川書店)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評
http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

ラベル:ささ 小竹
posted by Toshi at 04:28| Comment(0) | カテゴリ無し | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください