2018年09月12日

知音


「地音(ちいん)」は,今日意味が薄まって,

知り合い,知人,

という程度の意味で使われるが,

音を知る,

から来ていて,

よく心を知りあっている人,

という意味で,単なる,

親友,

というのも意味が違う。

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(伯牙が琴を弾き、その横で子期が琴を聴いている(頤和園) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BC%AF%E7%89%99より)

『語源由来辞典』(http://gogen-allguide.com/ti/chiin.html)には,

「知音は、『列子(湯問)』などの故事に由来する。 中国春秋時代、伯牙(はくが)という琴 の名手がいた。 友人の鐘子期(しょうしき)が死に、伯牙は自分の琴の音をよく理解して くれる者がいなくなったと嘆き、琴の弦を切って二度と弾かなかった。 そこから、自分を知ってくれる人や親友を『知音』というようになり、よく知る人の意味から、恋人、女房、知人などにも、『知音』が用いられるようににーなった。」

とある。

子期死して伯牙復琴をかなでず,

というもいい,

断琴の交わり,

伯牙絶絃,

とも言う。単なる俱とはちょっと違う,ということだろう。『呂氏春秋』等々には,

伯牙鼓琴。鍾子期聽之。
方鼓琴而志在太山。鍾子期曰。
善哉乎鼓琴。巍巍乎若太山。
少選之間。而志在流水。鍾子期又曰。
善哉乎鼓琴。湯湯乎若流水。
鍾子期死。伯牙破琴絶弦。終身不復鼓琴。
以為世無足復為鼓琴者。
非獨琴若此也。賢者亦然。
雖有賢者。而無禮以接之。賢奚由盡忠。
猶御之不善。驥不自千里也。

と載る,とか。

伯牙(はくが)琴(きん)を鼓(こ)し、鍾子期(しょうしき)之を聴く。
琴を鼓するに方(あた)りて、志(こころざし)太山(たいざん)に在らば、鍾子期曰く、
善い哉かな、琴を鼓する、巍巍乎(ぎぎこ)として太山の若し、と。
少選(しょうせん)の間にして、志流水(りゅうすい)に在らば、鍾子期又た曰く、
善い哉かな、琴を鼓する、湯湯乎(しょうしょうこ)として流水の若し、と。
鍾子期死す、伯牙琴を破り絃を絶ち、終身復(また)琴を鼓さず、
以為(おもへらく世に復た琴を鼓すに足る者無しと。
独り琴のみ此の若きに非ざるなり、賢者も亦た然り。
賢者有りと雖も、而も禮以て之に接する無くば、賢、奚(なに)に由りて忠を尽くさん。
猶ほ御(ぎょ)の善ならざれば、驥(き)も自ずから千里ならざるがごときなり。

なお,驥(き)とは,一日に千里を走るという俊足の馬をいう。

伯牙は、中国春秋時代の晋の大夫。伯雅とも。姓が伯、名が牙。

「伯牙が高い山に登る気持ちで琴を弾くと、鍾子期は『すばらしい、まるで険しい泰山のようだ』と言い、伯牙が川の流れを思い浮かべて弾くと、鍾子期は『すばらしい、まるで広大な長江か黄河のようだ』と言った。」

とある(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BC%AF%E7%89%99)。こんなわが想いを思い,わが心を心する友がいるなら,たぶん,他は,迚も堪えられまい。

中國の,

「朝廷や諸侯はおのおの楽師をかかえ,それを養成する機関をもって,典礼や饗宴で演奏させていたが,民間にも多数の音楽家がいた。とくに戦国期(前5~前3世紀)になると,衛の王豹(おうひよう)や斉の綿駒(めんく)といった歌手,琴家の伯牙(はくが)など古典に名をとどめるものもおり,趙の女性楽人のように,全国を回る旅芸人が活躍するようになる。」

とある(『世界大百科事典』)。中国春秋時代の晋と言えば,紀元前11世紀 - 紀元前376年である。まだ日本列島は縄文時代である。

水星のクレーターの1つが「Po Ya(伯牙)」と命名されている,とか。また,祇園祭の山鉾にも,この故事にちなんだ「伯牙山(はくがやま)」というのもあるとか。

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(祇園祭の山鉾「伯牙山(はくがやま)」http://www.gionmatsuri.or.jp/yamahoko/hakugayama.htmlより)

参考文献;
尚学図書編『故事ことわざの辞典』(小学館)
http://www.kokin.rr-livelife.net/classic/classic_oriental/classic_oriental_350.html
http://www.gionmatsuri.or.jp/yamahoko/hakugayama.html

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評
http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

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