2018年09月20日

まく(巻く)


「まく」と当てる漢字は,

巻く,
捲く,
播く,
蒔く,
撒く,
枕く,
婚く,
纏く,
負く,
設く,
任く,
罷く,

等々ものすごい数になる。ただ,大まかに,

巻く,
捲く,

と,

枕く,
婚く,
纏く,



播く,
撒く,
蒔く,

と, その他由来を異にする,

負く,
設く,
任く,
罷く,

等々に別れる。同じく「まく」とはいいつつ,由来は異にする。

巻く,
捲く,

を取り上げてみる。『岩波古語辞典』には,

「一点,または一つの軸を中心にして,その周囲に渦巻状の現象や現状が生ずる意」

とあり,『大言海』には,

「圓く轉(く)る意か」

とし,

「渦の如く,クルクルと折り畳む」

とする。そして,

纏く,

をつなげ,

纏いつく,
絡み付く,

意とつなげている。そして,

枕く,

は,

「纏く意,マクラと云ふも頭に纏く物なれば云ふならむ」

とする。「枕く」は,

相手に腕をかけてかき抱く,

と,「巻く」とつながるのである。

『日本語源広辞典』は,「巻く」の語源を,

「マク(丸く包み込む)」

とする。しかしこれは,「巻く」と当てた上での後解釈に見える。『日本語源大辞典』は,『大言海』の,

マルククル(円転),

以外に,

マロカスの反モクの転か(名語記),
マロカス(丸)の義(名言通),
前に繰るの義か(和訓栞),
マルメク(円来)の義(日本語原学=林甕臣),
マロ(円)にするの意(国語溯原=大矢徹),
マルクの略か(和句解),
円く畳む意(国語の語根とその分類=大島正健),
マク(曲転)の意(言元梯),
マはムカハ(向)の約。向へあわす意(和訓集説),

等々を挙げる。当然「まる(円・丸)」との関連が気になってくる。「まる」は,『日本語源大辞典』に,

「中世期までは『丸』は一般に『まろ』と読んだが,中世後期以後,『まる』が一般化した。(中略)本来は『球状のさま』という立体としての形状をさすことが多い。平面としての『円形のさま』は,上代は『まと』,中古以降は加えて『まどか(まとか)』が用いられた。『まと』『まどか』の使用が減る中世には『まる』が平面の意をも表すことが多くなる」

とあり,「まる」は,

まろの転,

で,『岩波古語辞典』には,「まろ」の項で,

「球形の意。転じて,ひとかたまりであるさま」

と,更に意味が転じている。「まろ」の語源は,

音を発するときの口の形から(国語溯原=大矢徹・国語の語根とその分類=大島正健),
マアル(真在)の義(日本語原学=林甕臣),
マロ(転)の義(言元梯),
全の義(俚言集覧),

等々と載るが,僕には,「廻る」との関連が気になる。「廻(まは)る」は,『岩波古語辞典』には,

舞ふと同根,

で,

「平面を旋回する意」

とある。「舞う」の語源を見ていくと,『日本語源大辞典』に,

「類義語『踊る』があるが,それは本来,とびはねる意であるのに対して,『まう』は回る意」

とある。こう見ると,「巻く」は「まる」とつながり,「まる」は「廻る」とつながっていく。

「巻く」とつながる「枕く」「纏く」「婚く」は,

枕をしたときの形容から巻くの義(雉岡随筆),
マはタマ(玉),マル(丸)などの語根。腕で首を巻いて寝る意から(日本古語大辞典=松岡静雄),
体を撓めるところからマグ(曲)の意(釈日本紀),
マギヌル(纏寝)の意(亮々草子),
男女が袖を差し交えて相巻く意から(類聚名物考),

と語源は「巻く」「まる」とつながっていく。

播く,
撒く,
蒔く,

と,

負く,
設く,
任く,
罷く,

については,項を改める。

参考文献;
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)
大槻文彦『大言海』(冨山房)
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評
http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

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