「カメ」は,
亀(龜),
と当てる「かめ」である。「亀」(キ)の字は,
「象形。かめを描いたもので,外からまるく囲う意を含み,甲羅で体全体を囲ったかめ」
である。
(殷(3,300~3,000年前)・甲骨文字 https://ja.wiktionary.org/wiki/%E4%BA%80より。殷時代後期には銅製などの刃物で亀甲や獣骨などを刻んだ亀甲獣骨文字が使用され、世界最古の漢字とされる。)
(西周・金文 https://ja.wiktionary.org/wiki/%E4%BA%80より)
(「かめ」の象形(https://okjiten.jp/kanji329.htmlより)
『大言海』には,
「穀體(カイミ)の略轉か(稲も,飯根(イヒネ)の略なるべし)」
とする。『日本語源広辞典』は,
「『カ(堅)+メ(目)』です。堅い甲。甲羅の堅い動物」
とする。『日本語の語源』は,
「イカメシキ(偉めしき)甲羅は,その省略形がカメ(龜)になった」
とする。「亀」の語源は,どうもはっきりしない。『日本語源大辞典』には,『大言海』の「殻体」説以外に,
カラミホネ(殻身骨)の義(日本語原学=林甕臣),
コミ(甲体)の転(言元梯),
甲で身を堅めているところから,カタメの略(本朝辞源=宇田甘冥),
ものに恐れて頭,手足を引っ込めるところから,カガム(屈)の転語(和句解・柴門和語類集),
神と義通い,カガマルという義(言葉の根しらべの=鈴木潔子),
命が長い意のカメ(遐命)から(和語私臆鈔),
上代,亀は神霊であり,神獣とされたところから,カミの転(東雅・円珠庵雑記・燕石雑志・名言通・和訓栞・日本古語大辞典=松岡静雄),
等々を載せる。存外,
カミの転,
が正しいのではないか。かつて,
「殷王朝においては祭事や戦争、農耕や天気予報などに至るまで、穴をあけた亀甲や獣骨に火をあてることで生じた割れ目によって吉兆が占われた。『卜』『兆』などの文字はこの際に生じた割れ目の形状に由来すると考えられている。亀甲獣骨文字を刻んだ甲羅が今日まで残されている。」(仝上)
日本では,
「固有の卜占は,太占 (ふとまに) と呼ばれ,鹿の肩骨を焼いて占った」
が,
「中国から亀甲による卜法が輸入されると,朝廷ではこれを採用した。亀卜は神祇官が司り,20人の卜部が担当。亀甲は,紀伊,阿波,土佐,志摩の各国の産物によった。卜法は,亀の甲にあらかじめ一定の線を描き,焼き現れる縦横の文 (もん) によって吉凶を占い,これにより,祀るべき神,祭の日時,場所などを決めた。」
とある(『百科事典マイペディア』)。
亀は,吉兆・縁起物で,
「日本では『鶴は千年 亀は万年』と言われ、鶴とともに亀は長寿の象徴、夫婦円満の象徴とされる。」
とある(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%A1)。
(浮世絵師・歌川広重の『名所江戸百景 深川 萬年橋』には、手桶の取っ手に吊るされた1匹の亀が描かれているが、これは画題「萬年橋」の「萬年(万年)」を「鶴は千年 亀は萬年」にかけたもの。近景の亀も、手桶の取っ手と窓枠が形作る額のような四角画面に納まった遠景の富士の山も、そして2艘の帆掛け舟も、みな縁起物である。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%A1より)
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コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
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書評
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