2018年11月15日

ズベ公


「ズベ公」は,

不良少女,
素行の悪い少女を罵っていう語,

の意であるが

「すべた」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/462711764.html?1542140630)の項,で触れたように,

すべた→すべ→ズベ公,

の転訛とする説がある。しかし,「ズベ公」は,

「ずべ」は「ずべら」の略,

とある(『デジタル大辞泉』)。しかも,「ズベ公」は,

すべ,

ともいう。むしろこの説の方が多い。たとえば,

「『ズベ』は『ズボラ』と同じ意味の『ズベラ』から由来しており、『公』は先生に対して『先公』と呼ぶのと同じく相手を馬鹿にする時に使う接尾語である。 主に不良少女を罵る時に使われる言葉であり、第二次世界大戦後から使われるようになった。」

とある(https://dic.pixiv.net/a/%E3%82%BA%E3%83%99%E5%85%AC)し,あるいは,『語源由来辞典』(http://gogen-allguide.com/su/zubekou.html)も,

「ズベ公の『ズベ』は、『ずぼら』と同じ意味の『ずべら』の下略。『公』は、先生を『先公』、警察を『ポリ公』などと呼ぶのと同様で、相手をやや軽んじて言う接尾語である。第二次 世界大戦後、巷には不良少女が目立つようになり、素行の悪い少女を罵っていう言葉として流行した。カードのスペードが悪い札とされていたことから、スペードが転じたとする説もあるが、『すべら』が『ずぼら』と同意語でありながら,『すぼら』の語源がスペードと関係ないため,この説は誤りと考えられる。」

とする。ただ,「ずべら」が「すぼら」と同意語であることと,語源が同じという意味ではないので,「スペード」説を退けるこの説明は,為にする説明にしか思えない。「すぼら」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/462695588.html?1542053162)で触れたように,

「ズボラの語源は、つるつるなさまを意味する『ずんべらぼん』や『ずんぼらぼん』という京都や大阪の方言だとされています。」(https://imikaisetu.goldencelebration168.com/archives/1836

で,「ずべら」は,ただ滑るという状態表現でしかない。それが価値表現へと転じて,

締りのない,

意へと変り,それを表すことばとして,

すぼら,

と変化した。この意味の変化から考えると,「ずべら」の意味が,

しまりのない,
すぼら,

の意味になってから,

ずべ,

といい,

ズベ公,

となったとしても,「ずべら」の意味と,「ズベ公」の意味には少し隔たりがある。

むしろ,「すべた」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/462711764.html?1542140630)の項で触れた,「すべた」の意味,

女性を罵る,

の方が,語感として近くはあるまいか。

つまらない,
取るに足りない,

という含意だったのが,外面の,

良し悪し,

に転じて,

エスパーダ→素札(すふだ)→すべた,

ときて,

エスパーダ→素札(すふだ)→すべた→ずべ→ズベ公,

の意味の流れのの方がしっくりくる。『日本語源広辞典』も,

説1 「ズベ(ずぼらな)+公(ののしる語)」。だらしない不良少女,
説2 「スペード(トランプのかす札)」からきた,スベタ(醜い女),

と,「すべた」説を挙げている。『日本語源大辞典』も同様で,

ズベラ,ズボラに通じる新潟方言の罵言ズベを擬人化したもの(すらんぐ=暉峻康隆),
ズベは,ポルトガル語espada(つまり英語のスペード)の略で零点札を意味するトランプ用語スベタから(猫も杓子も=楳垣実),

と,「すべた」説を挙げる。

エスパーダ→素札(すふだ)→すべた→ずべ→ズベ公,

の転訛でいいようである。

参考文献;
前田勇編『江戸語大辞典 新装版』(講談社)
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)


ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評
http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

ラベル:ズベ公
【関連する記事】
posted by Toshi at 05:14| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください