2019年01月06日

たらいまわし


「たらいまわし」は,

盥回し,

と当てる。

足で盥をまわす曲芸,
ひとつの物事を,せきにんをもって処理せずに次々と送りまわすこと,

とある(『広辞苑第5版』)。前者の意味は,今日ではほぼ薄らぎ,

政権の盥廻し,

のように,

物事・地位などをある範囲内で次から次へと送りまわすこと,

という意味(大辞林)や

苦情を言ったらたらいまわしされた,

のように,

物事をよその部門に対応させて面倒事を回避しようとするさま、あるいは、行く先々で他の窓口へ行くように案内されなかなか目的を果たせないさまなどを意味する表現,

という意味(実用日本語表現辞典)で使われることがほとんどと思われる。前者は,

「あおむけに寝て、足でたらいをまわす曲芸」

らしい(https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1215499027)が,僕も見たことがない。,

「『傘回し』や『皿回し』と同じように曲芸の一つであったことに由来する。江戸時代の資料にあるように、曲芸師があおむけに寝て、足でたらいを回していた。」

とある(https://zatsuneta.com/archives/002162.html)が、それが一般的になったのは,

「明治、大正時代にかけて隆盛した曲芸の1つ。鉄割熊蔵による鉄割一座による足芸が有名。次第に欧米との文化交流が活性化していく中で、海外ではその芸の価値を認められ、優れた芸人は欧米に招聘されてエンターティナーとして活躍した。かのトーマス・エジソンにも感銘を与えたと言われ、その撮影した映像が残っている。」

というhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%9F%E3%82%89%E3%81%84%E5%9B%9E%E3%81%97。比較的新しい。

「たらいを足などで回す曲芸。転じて、物事を次から次へと送りまわすこと、面倒な案件などを部署・官庁間で押し付け合う責任逃れ(俗に言う『責任のなすり合い』)や責任転嫁など、その他一部の組織・派閥による権力や利益の独占も例えて呼ぶようになった」

にもhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%9F%E3%82%89%E3%81%84%E5%9B%9E%E3%81%97とある。

『日本語源広辞典』にも,

「盥+回し」

と,足で回す曲芸とあるが,この含意は,ただ「盥を足で回す」ところではなく,そのたらいを順番に隣の人に受け渡していく」芸にある。でなくては,今日の,転々と転嫁していく意には当てはまらない。

「仰向けに寝て、足でたらいを回す曲芸のことだった。曲芸師は寝たままで、たらいだけを次々に受け渡すことから、転じて一つのことを馴れ合いや責任回避などから順繰りに送り回すことをいうようになった。」

という説明でないとhttp://yain.jp/i/%E3%81%9F%E3%82%89%E3%81%84%E5%9B%9E%E3%81%97,意味が正確ではない。より正確にいうなら,

「盥回しの曲芸は、たらいを 回しながら受け渡していくもので、回すたらいが変わっても回す足の方は変わらず同じであることから、順送りする意味で使われるようになった。」

なのだろう(語源由来辞典 http://gogen-allguide.com/ta/taraimawashi.html)。『語源由来辞典』は,更に,

「『たらいまわし』は,たらいを回す側(足)が主となる言葉なので,本来は,『患者をたらいまわしにする』など,馴れ合いで他者へ順送りすることを言ったが,現在は『病院をたらいまわしされる』など,送り回される側(たらい)が主となる表現の方が多く用いられるようになった」

とする。

ちなみに,「たらいまわし」に,関連して,プログラミング言語処理系のベンチマークなどに使われる、再帰的に定義された関数,竹内関数も,

たらいまわし関数、
たらい関数 (Tarai function),

と呼ばれるとかhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AB%B9%E5%86%85%E9%96%A2%E6%95%B0

参考文献;
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)


ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評
http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

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