2019年01月21日

下ネタ


「下ネタ」は,

「『しも』は下半身の意。『ねた』は『たね(種)』を逆さ読みにした語」

で,

性や排泄に関する話題,

だが(『デジタル大辞泉』),

「下ネタ(しもネタ)は、笑いをさそう排泄・性的な話題のこと。寄席における符牒のひとつであったが、テレビ業界で用いられるようになってから一般化した。『下がかった話』などともいう。現在ではもっぱら艶笑話について用いられ、かならずしも笑いをともなわない猥談や露骨に性的な話(エロネタ、エッチネタ)を指すこともある。下は人間の下半身(または『下品』の意味)、ネタは「(話の)タネ」を意味する。」

とある説明が詳しい(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8B%E3%83%8D%E3%82%BF)。

「ねた」は,

種,

と当て,

タネの倒語,

であり,

たね,
材料,

の意である(『岩波古語辞典』),とある。『江戸語大辞典』には,

大道商人隠語,

とあり,

商売道具,
商品,

の意とある。

「そりやア肝心のねたア,此天蓋の張っているにあをられるぜ(原注 ネタとは種といふこと)」(弘化三年・魂胆夢輔譚)

の用例からみると,幕末といっていい。慶応三年の用例では,

「(こんなに降るとしったらば,もう一晩ぶん流すに)なんのねたもねえくせに」(お静礼三)

とあり,ここでは遊興費の意らしい。

RMN00017635-L.JPG

(葛飾北斎「新板大道図彙 小田原町」 https://images.dnpartcom.jp/ia/workDetail?id=RMN00017635


「しも」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/463610265.html?1547152276)で触れたように,「しも」は,「かみ」と対である。『岩波古語辞典』には,

一続きのあるものの終り,

の意味で,

終りの方,末尾,
(時の経過の)終り,
月の後半,

の意味が,

ひとつづきの高さあるものの下部,

の意味で,

低い方,下方,
下半身,

一連の位・年齢・座席の下位である,

の意で,

身分・格式が下である,

意等々,が載る。

「した」に比べて,位置関係というよりは,一連の流れの末端,という含意のようである。『大辞林』は,

「空間的・時間的に連続したものの下の方。末の方。低いところ」

とあり,本来は,

ひとつながりの末端,

という状態表現が,価値を含み,

シモ,

には,

下劣,
品のない,

といった価値表現へと転じた。だから,

下ネタ,

には,単に,

下半身ネタ,

というだけではなく,

価値の下がる,

という意が含まれている。

参考文献;
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
前田勇編『江戸語大辞典 新装版』(講談社)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評
http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

ラベル:下ネタ
posted by Toshi at 05:29| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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