2019年02月03日

かぶり


「あたま」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/454155971.html)で触れたように,「あたま」は,

「『当間(あてま)』の転で灸点に当たる所の意味や、『天玉(あたま)』『貴間(あてま)』の意味など諸説あるが未詳。 古くは『かぶ』『かしら』『かうべ(こうべ)』と言い、『かぶ』は 奈良時代には古語化していたとされる。『かしら』は奈良時代から見られ、頭を表す代表 語となっていた。『こうべ』は平安時代以降みられるが、『かしら』に比べ用法や使用例が狭く、室町時代には古語化し、『あたま』が徐々に使われるようになった。『あたま』は、もとは前頭部中央の骨と骨の隙間を表した語で、頭頂や頭全体を表すようになったが、まだ『かしら』が代表的な言葉として用いられ、『つむり』『かぶり』『くび』などと併用されていた。しだいに『あたま』が勢力を広げて代表的な言葉となり、脳の働きや人数を表すようにもなった。」

と,

かぶ→かしら→こうべ→(つむり・かぶり・くび)→あたま,

と変遷したということらしい(『語源由来辞典』http://gogen-allguide.com/a/atama.html)。「かぶ」は,『岩波古語辞典』には,

「カブラ(蕪)・カブヅチノカブと同根。塊になっていて,ばらばらに離れることがないもの」

とあるが,『大言海』は,

「かうべと云ふも,頭上(かぶうへ)の轉なり」

とある。この「かぶ」の転訛のひとつ「かぶり」は,

「頭振(かぶふり),又首(かうべ)振の約(紙縒(かみより),こより。杏葉(ぎゃうえふ),ぎょえふ)。カフリを振るは,重言なれど,熟語となれば,語原は忘れらる,博打を打つの如し」

となる(『大言海』)。しかも,「かぶる(被る)」は,『大言海』は,

「頭(かぶ)を活用せしむ」

とあり,「かぶく(傾)」の項に,やはり,

「頭(かぶ)を活用せしむ(頭(かぶ)す(傾く),頭(かぶ)る(被),同じ)」

とある。「かぶる」もまた,当たり前だが,頭とつながる。

「やぶれかぶれ(http://ppnetwork.seesaa.net/article/459884075.html)で触れたように,「かぶる(被)」は,

カガフリ→カウブリ→カブリ,

と転訛している。この「かがふり」は,

冠,

につながる。「冠」の「かうぶる(冠・蒙)」は,

カガフリ→カウブリ→カウムリ→カンムリ→カムリ,

と転訛する(『岩波古語辞典』)。当然「かぶる」「かふり」は,

かぶと(兜),

につながる(http://ppnetwork.seesaa.net/article/451755286.html)。「かぶと」には,

「朝鮮語で甲(よろい)をkap衣をotという。その複合語kapotを,日本語でkabutoとして受け入れたという」

ような(『岩波古語辞典』)朝鮮語源説もあるが,「かふり」「かぶ」との関連から見ると,

「カブ(頭,被る,冠)+ト(堵,カキ,ふせぐもの)」

と(『日本語源広辞典』)か,『日本語源大辞典』も,

カブは頭の意(古事記伝),
カフト(頭蓋)の音義(和語私臆鈔),
カブブタ(頭蓋)の約転(言元梯),
カブト(頭鋭)の意(類聚名物考),
カブは頭。トは事物を意味する接尾語(日本古語大辞典),
頭を守る大切なものという意で,カブ(頭)フト(太=立派なもの)か(衣食住語源辞典),
カブツク(頭衝)の義(名言通),

等々「『かぶ』は頭の意と考えるのが穏当であろうが,『と』については定説を見ない」が,「かぶ(頭)」とつながるとみていい。

次いでながら,「かずける」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/460610794.html)で触れたように,

被く,

と当てる「かづく(かずく)」(下二段)の口語,「かづく(かずく)」は,

「『潜(かず)く』と同源で,頭から水をかぶる意が原義,転じて,ものを自分の上にのせかぶる意」

とある(『広辞苑』)。「潜く」は,

「頭にすっぽりかぶる意」

であり(『岩波古語辞典』),その名詞形,

「かづき」(被)

は,被り物の意だが,

被衣,

とも当て,

衣被(きぬかづき),

の意でも使われる。によると,「かづき」は,

「室町時代頃から,『かつぎ』へと移りはじめたらしい」

とあり(『岩波古語辞典』),「衣被」も,

きぬかづき→きぬかつぎ,

と転じている。

参考文献;
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)
大槻文彦『大言海』(冨山房)
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)

ホームページ;
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コトバの辞典;
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スキル事典;
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書評
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posted by Toshi at 05:26| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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