2019年06月15日

ありきたり


「ありきたり」は,

在り来たり,

と当てる。

もとからあること,
普通にあって珍しくないこと,

という意味である(広辞苑)。「ありきたり」は,

在り+来たり,

で(日本語源広辞典),

昔からあって今まで来たもの,

の意である。つまり,

「動詞『在り(有り)来たる』の連用形が形容詞として用いられるようになった語。『あり(在り・有り)』は『存在すること』、『来たる』は動詞の連用形に付いて『し続けて現在にまで及ぶ』という意味である。 ありきたりの原義は、『もとから存在し続けてきたこと』『今まで通りであること』で、転じて、『ありふれていること』『珍しくないこと』の意味となった」

という通りである(http://gogen-allguide.com/a/arikitari.html)。

在来,
従来,

という意味(大言海)の,

元よりあること,
元より伝へたること,

が,原義になる。似た言葉に,

ありふれる(有り触れる),

がある。

有り+触れる,

で(日本語源広辞典),

どこにでも有り,接触している,

という意で,

どこにでもある,
珍しくない,

意となる。江戸語大辞典には,

有り触れ,

という名詞形が載る。

お定まり,

という意になる。それに近い言い方で,

有り勝ち,

という言い回しがある。

有り+ガチ(そうなることが多い)

とある(日本語源広辞典)が,「がち」は,

勝ち,

とあてる,

「体言または動詞の連用形に付いて,そのことが『しばしばである』『その傾向がある』意を表す」

接尾語である(広辞苑)。正確には,名詞に付くと,

…が多いさま,とかく…が目立つさま,

動詞連用形に付いて,

とかく…する傾きがあるさま,幾度か…することを繰り返すさま,

の意となる。要は,

在り来たり,
有り触れる,

とほぼ重なる。似た言葉に,

ありうち(有り内),

がある。

世の中によくあること,

の意だが,

有ると見なされる範囲,

といった意味になる。

ざら,

と同意である。同義語に,

並み,
とか,
平凡,
とか
日常茶飯,
とか
通俗,

というと価値表現が表面に出るが,

在り来たり,
有り触れる,
有り勝ち,

だといくらか,価値表現がやわらぐのかもしれない。かつて,

有り来(ありき),

という言い方があった。これは,

変らず,年月を経てくる,

という「在り来たり」のマイナス面ではなくプラス面を言っているようである。物は言いよう,言葉は使いようである。

参考文献;
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)
大槻文彦『大言海』(冨山房)
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
前田勇編『江戸語大辞典 新装版』(講談社)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評
http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

posted by Toshi at 03:30| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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