2019年06月17日
ながれる
「ながれる」は,
流れる,
と当てる。「流」(リュウ)の字は,
「会意兼形声。右側は『子の逆形+水』の会意文字で,出産の際羊水の流れ出るさま。流はそれを音符とし,水を加えた字で,その原義をさらに明白にしたもの。分散して長くのび広がる意を含む」
とある(漢字源)。
「流れ」は,
「ナガシ(長),ナゲ(投)と同根。ナガは主に平面上を,線条的に伸びていくさま」
とある(岩波古語辞典)。「ナゲ(投)」をみると,
「ナガ(長)を活用させた語。ナガレ(流)と同根」
とある。「なが(長)」は,
長しの語根,
で,
長雨,
長秋,
長月,
長生,
長歌,
長唄,
長柄,
長刀,
長年,
長持,
等々「長い」意を持たせる言葉として使われる。この延長と考えると,
流れる,
は,
長を活用す,
という(大言海)のいう意味的にもつながる。日本語源広辞典も,
長+ル,
と同趣である。ほぼ大勢も,ナガと関わり
ナガ(長)から(和句解・日本釈名),
ナガアル(長在)の義(名言通・日本語源=賀茂百樹),
水などが長く下り行くところから(国語の語根とその分類=大島正健・国語溯原=大矢徹),
ナガアル(長生)の義(国語本義),
ナガル(永)の義(言元梯),
とある。
ナガの活用,
で良さそうである。「投げる」を見ると,
「ナガ(長)nagaの音韻変化,nagu投ぐ」
と(日本語源広辞典),ナガ(長)と同根と通じる。
物を長くほうり出す意であるところから,
ナグル(長)の義(国語溯原=大矢徹・日本語源=賀茂百樹),
も同趣である。
あるいは,確かに,
長在,
のように,「長」を付けた言葉の変化の可能性もあるが,「流れる」の文語,
流る,
を考えれば,
長+る,
であり,それが転じて,
nagaru→nagu,
はあり得るのである。
参考文献;
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)
大槻文彦『大言海』(冨山房)
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評
http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95
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