2019年09月19日

河童


「河童」は,

河(川)太郎(かわたろう),

とも言う。

Kappa_jap_myth.jpg

(鳥山石燕『画頭百鬼夜行』河童 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B2%B3%E7%AB%A5より)

「かっぱ」は,

「『かわ(川)』に『わらは(童)』の変化形『わっぱ』が複合した『かわわっぱ』が変化したもの」(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B2%B3%E7%AB%A5),

「カハワラハ(河童)の訛,カハワッパの約」(日本語源広辞典,名言通,大言海,江戸のかたきを長崎で=楳垣実),

とされる,

かわわらべ,
かわらんべ,

という方言もある(日本語源広辞典),とか。

「日本全国で伝承され、その呼び名や形状も各地方によって異なる。類縁にセコなどがいる。水神、またはその依り代、またはその仮の姿」

ともいう(仝上)。河童の呼称は,

ガーッパ系 カッパ,ガッパ,ガラッパドンなど,
河(川)太郎系 カワタロウ,ガタロウ,ガータロ,ガワンタロなど,
川原坊主系 カワラロゾウ,カワラボウズ,カワソウなど,
川の殿系 カワノトノ,カワントノ,カワノヌシなど,
猿猴系 ホナコウ,ユンコサン,エンゴザルなど,
その他 メドチ,ガメ,ヒョウスンボ,コマヒキなど,

の六つの系統に分けられる,という(日本伝奇伝説大辞典)。河童が文献に最初に現れるのは,

河伯(かはのかみ),

として,日本書紀にある。河童のこととされている。

「河童」は,

「体格は子供のようで、全身は緑色または赤色。頭頂部に皿があることが多い。皿は円形の平滑な無毛部で、いつも水で濡れており、皿が乾いたり割れたりすると力を失う、または死ぬとされる。口は短い嘴で、背中には亀のような甲羅が、手足には水掻きがあるとする場合が多く、肛門が3つあるとも言われる。体臭は生臭く、姿は猿やカワウソのようと表現されることもある。両腕は体内で繋がっており、片方の腕を引っ張るともう片方の腕が縮み、そのまま抜けてしまうこともあるとされ、これは、中国のサル妖怪で、同様に両腕が体内で繋がっていると言われる『通臂猿猴』の特徴と共通している」

とある(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B2%B3%E7%AB%A5),「通臂猿猴(つうひえんこう)」というのはよく分からないが,『西遊記』中では孫悟空に重用された二匹の通臂猿猴「崩」「芭」が登場している。

「18世紀以前の本草学・博物学書上における河童のイメージは両生類的ではなかった。例えば、文安元年(1444年)に成立した『下学集』には『獺(カワウソ)老いて河童(カワロウ)に成る』とある。また、『日葡辞書』の「カワラゥ」の項では、川に棲む猿に似た獣の一種と説明されている。18世紀半ばに、山がなく猿に馴染みのない江戸の人びとに受容しやすい、カエルやスッポンに似せた両生類的な江戸型の河童のモデルが生まれ、19世紀には出版物を通じて全国に伝播し、置き換えられていったと考えられている」

とある(仝上)。「本朝俗諺志」や「和訓栞」には,

「昔,河童は黄河の上流に棲んでいたが,その中の一族が海を渡って九州の球磨川に棲んだ。そこで河童が繁殖して九千匹になった。九千坊と称する族長は乱暴者で,加藤清正が九州の猿を集めた攻め立てたところ,河童は降参して肥後を去り,久留米の有馬公の許しを得て筑後川に棲み,水難除け神の水天宮の使いになった」

とある(日本伝奇伝説大辞典)。川祭りとか,水神祭を六月に行うのは,河童を祀り,胡瓜をそなえるのは,それに因るとか。ただ,河童の由来は大まかに西日本と東日本に分けられ,大陸からの渡来とされるが,

「東日本では安倍晴明の式神、役小角の護法童子、飛騨の匠(左甚五郎とも)が仕事を手伝わせるために作った人形が変じたものとされる。両腕が体内で繋がっている(腕を抜くと反対側の腕も抜けたという話がある)のは人形であったからともされる。大陸渡来の河童は猿猴と呼ばれ、その性質も中国の猴(中国ではニホンザルなど在来種より大きな猿を猴と表記する)に類似する」

とある(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B2%B3%E7%AB%A5)。

もともと,「河童」は,

「田の水を司り,田の仕事を助けることもある。西日本の各地で,河童は秋冬は山にすみ,春夏は里にすむと伝える点は,田の神去来の信仰と対応する。河童は,小さ子たる水神童子の零落した姿であったろうと考えられている。かつて水神の化身,もしくは使者として信仰され,今でも各地で水神として祭られている。しかし,信仰の衰えに従ってしだいに妖怪に零落」

したものである(日本昔話事典)。

河童石,

というものが各地にあるが,

川子石(かわごいし),
川太郎石(かわたろういし),
ガラッパ石,
ヒョウスエ石,
エンコウ石,

等々ともいい,

「春に山の神が水脈を伝わって里へ降りて来て田の神となり,秋に山にまいもどり山の神になるという信仰伝承に似て,河童は春は里に,秋は山に行くと信じられていたが,その中継基地が河童石と考えられる。ために,精霊の拠る台座として祭祀の対象にも,また常人の近づくことを許されぬ禁忌の対象にもなっていた」

という(仝上)。

河童の駒引き,

という馬が川に引き込まれる昔話は,多く,川の近くにある河童石に絡むことが多いのは,信仰が薄れた後のことと思われる。三重県志摩の伝承に,

「河童が馬に蹴られて頭上の水をこぼして力を失ったので,寺の住持に頼んで水を入れてもらい,お礼に大石二個を奉納した。そしてその石が朽ちるまで村人を害さないと誓ったという」

こぼし石,

は,いまも祭祀し,水難除けのご利益があるという(仝上)。水神としての河童への微かな信仰の翳が残っている。

参考文献;
鳥山石燕『画図百鬼夜行全画集』(角川ソフィア文庫)
乾克己他編『日本伝奇伝説大辞典』(角川書店)
稲田浩二他編『日本昔話事典』(弘文堂)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評
http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

posted by Toshi at 04:25| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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