2019年10月03日

かまいたち


「かまいたち」は、

鎌鼬、

と当てる。

鎌風、

ともいう。「通り魔」http://ppnetwork.seesaa.net/article/437854749.htmlで触れたことがある。

「道などを歩いているとき,(小旋風のため)突然鎌で切られたような傷を受ける怪異現象の1つ。出血もなく,痛みも感じない」

塵旋風、
真空説、
寒冷説、
電気説、

等々の諸説があり(ブリタニカ国際大百科事典)、この旋風を、

カマイタチ、

という。鼬の仕業と考えて、この名がある。

「気圧の急変などの自然現象によるもの」

とも説明されている。かつて、神奈川地方では、

カマカゼ,

静岡地方では、

アクゼンシカゼ(悪禅師風)、

愛知県東部では、

飯綱(いづな)、

高知県などでは、

野鎌(のがま)に切られる、

等々といっていた。

越後七不思議の1つ、

に数えられている(仝上)。怪異とみなしたせいか、

旋風に乗ってきて人を切り生き血を吸うという魔獣、

とみなしたところもある。特に雪国地方にこの言伝えが多い。信越地方では、

暦を踏むと鎌鼬にあう、

という(百科事典マイペディア)。

鳥山石燕は,「かまいたち」に,

窮奇,

の字を当てているが,通常,

鎌鼬,

の字を当てる。その経緯は,

「鎌鼬(かまいたち)は、日本に伝えられる妖怪、もしくはそれが起こすとされた怪異である。つむじ風に乗って現われて人を切りつける。これに出遭った人は刃物で切られたような鋭い傷を受けるが、痛みはなく、傷からは血も出ないともされる。別物であるが風を媒介とする点から江戸時代の書物では中国の窮奇(きゅうき)と同一視されており、窮奇の訓読みとして『かまいたち』が採用されていた。」

とあるhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8E%8C%E9%BC%AC

SekienKamaitachi.jpg

(鳥山石燕『画図百鬼夜行』・窮奇(かまいたち) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8E%8C%E9%BC%ACより)


因みに,「窮奇」とは,

「中国神話に登場する怪物あるいは霊獣の一つ。四凶の一つとされる。中国最古の地理書『山海経』では、『西山経』四の巻で、ハリネズミの毛が生えた牛で、邽山(けいざん)という山に住み、犬のような鳴き声をあげ、人間を食べるものと説明しているが、『海内北経』では人食いの翼をもったトラで、人間を頭から食べると説明している。五帝の1人である少昊の不肖の息子の霊が邽山に留まってこの怪物になったともいう。」

とあるhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AA%AE%E5%A5%87。それが,

Shan_Hai_Jing_Qiongji.jpg

(清・汪紱『山海経存』より「窮奇」https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AA%AE%E5%A5%87より)

「『淮南子』では、『窮奇は広莫風(こうばくふう)を吹き起こす』とあり、風神の一種とみなされていた。」

ということから,「かまいたち」と同一視されたらしい。

「かまいたち」(鎌鼬)の名は、

人体で利鎌で斬ったような痕のようなものが生ずるのを鼬の所為として名付ける(大言海)、
カマイタチ(風間鼬)の義(言元梯)、
太刀を構えて伐ったであるから(俚言集覧)、

と、傷跡から、鼬や鎌に絡めているが、

大言海には、

「(人体に,利鎌を持ちて斬りたる痕の如きものの生ずるを,鼬の所為として名づく)気候の変動よりして,空気中に真空を生じ,人体これに触るれば,体内の気,平均を保つため,皮膚を裂きてこうむる負傷」

と載る。この説は,明治期に流布したものらしい。この知見は一見科学的であったために近代以後、児童雑誌や科学記事などを通じて一般に広く浸透したが,

「実際には皮膚はかなり丈夫な組織であり、人体を損傷するほどの気圧差が旋風によって生じることは物理的にも考えられず、さらに、かまいたちの発生する状況で人間の皮膚以外の物(衣服や周囲の物品)が切られているような事象も報告されていない。これらの理由から、現在では機械的な要因によるものではなく、皮膚表面が気化熱によって急激に冷やされるために、組織が変性して裂けるといったような生理学的現象(あかぎれ)であると考えられている。かまいたちの伝承が雪国に多いことも、この説を裏付ける。また、切れるという現象に限定すれば、風が巻き上げた鋭利な小石や木の葉によるものとも考えられている。」

と,今日では考えられているらしいhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8E%8C%E9%BC%AC

参考文献;
大槻文彦『大言海』(冨山房)
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評
http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

posted by Toshi at 04:46| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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