2019年10月05日

商う


「商う」は、

商売をする、

意である。「商」(ショウ)は、

「形声。『高い台の形+音符章の略体』で、もと、平原の中の明るい高台。殷人は高台に聚落(しゅうらく)をつくり商と自称した。周に滅ぼされたのち、その一部は工芸品を行商するジプシーと化し、中国に商業がはじまったので、商国の人の意から転じて、行商人の意となった」

とある(漢字源)。「あきなう」意だが、

「もと、行商を商、店を構えるのを賈(コ)といったが、のち広く商売を商という」

ともある。別に、

「会意兼形声文字です(章+冏)。『大きな入れ墨用の針』の象形(『目立つ』の意味)と『高殿(高い建物)』の象形から、どこからでも目立つ高殿を意味し、『殷(中国の王朝)の首都の名前』を意味する『商』という漢字が成り立ちました。のち、殷が亡びてその亡民が行商を業とした為、「あきない」の意味も表すようになりました」

ともありhttps://okjiten.jp/kanji507.html、殷とつながるようである。

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(商 殷(自称は商)・甲骨文字 https://ja.wiktionary.org/wiki/%E5%95%86より)


和語「あきなふ(う)」の「なう」は、

接尾語、

とみられる(広辞苑)。これは、

あがなう、
おこなう、
になう、
ともなう、
つぐなう、
いざなう、
おぎなう、
そこなう、
うべなう、
うらなう、

等々でも使われる。

「名詞を承けて四段活用の動詞を作る」

とあり、

「綯うと同根か、手先を用いて物事をつくりなす意から、上の体言の行為・動作をする意に転じたものであろう」

ともある(岩波古語辞典)。「あきなう」の「あき」は、

「秋と同根。収穫物の交換期の意」

とある(仝上)。「秋」を見ると、季節の意のほかに、

「収穫。みのり」

の意が載り、「あき」に、

商、

を当て、

「アキ(秋)と同根。アキナヒ、アキビト(商人)のアキに同じ」

とあるので、漢字を当てるまで、

秋、

商、
も、

ともに「アキ」であり、季節と、商売の意であった。文字を持たないので、話している当事者には、どちらを言っているかはわかっていた。

「秋」http://ppnetwork.seesaa.net/article/466853732.htmlについては既に触れたが、言葉の自然な転訛を考えるなら,

草木が赤くなり,稲がアカラム(熟)ことから(和句解・日本釈名・古事記伝・言元梯・菊池俗語考・大言海・日本語源=賀茂百樹),

ではないか、とみなした。

黄熟(あかり)→赤かり→明かり,

と通じる。それと「商い」が同根なのは、季節的な要因かと思われる。

「秋の収穫物を、欲しい人に売る行為(オコナイ)ですから、アキナイというのです。語原通り、『秋なう』であり、『秋ない』なのです」

なのであろう(日本語源広辞典)。

「商いの語源は、農民の間で収穫物や織物などを交換する商業が秋に行われたことから、『秋なふ(秋なう)』から動詞『あきなふ』が生まれ、『あきない』になったとする説が定説になっている。しかし、物を買い求めたり、何か別のものを代償として手に入れる意味の『購う・贖う(あがう・あがなう)』と同源とも考えられ、商いの語原が『秋』が正しいとは言い切れず、正確な語原は未詳である」

との異説(語源由来辞典)もあるが、「あがなふ」は、交易の双方向性がない。無理筋ではないか。

「『あきなう』ば『秋なう』です。秋は稲の収穫期です。秋になると,農家をまわって米やその他の農産物を買い集める人が出回りました。その人たちは,買い集めた農産物を持ち寄って,町で市 (いち) を開きました。まだ,町に店というものが登場する以前は,この定期的に開かれる市によって,物々交換が行われ,やがて貨幣というものが通用するようになると,現代の商行為のような 〈売り買い〉 が盛んになっていきました。そのように 〈秋に行われる 「物」 の流通〉を『秋なう』と言っていたのです」

という感覚でいいのではあるまいかhttps://mobility-8074.at.webry.info/201603/article_10.html

「なう」が「綯う」と同根とすると、

「『縄をなう』の『なう(撚り合わせる、すり寄せる、帯びる)』から出来た言葉であることは間違いない。『あき』は『秋』ではなく『空き』と考えるのが一番妥当ではないか。『商う』とは売り買い双方の間(空き)を『なう』(すり合わせる)ことであると思う」

という考え方もありうるhttps://blog.goo.ne.jp/awakomatsu/e/dc1556c64d9a3407dc07328fc6984f29かもしれない。

参考文献;
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評
http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

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posted by Toshi at 04:42| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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