2019年10月17日

ミョウガ


「ミョウガ」は、

茗荷、
蘘荷、

と当てる。旧仮名では、

めうが、

と表記される。岩波古語辞典の「めうが」の項には、

「ミョウガの芽を多く食べると馬鹿になるという俗説」

から、

馬鹿、阿保、愚者、

の意がある、とする。ミョウガは、

「日本の山野に自生しているものもあるが、人間が生活していたと考えられる場所以外では見られないことや、野生種がなく、5倍体(基本数x=11、2n=5x=55)であることなどから、アジア大陸から持ち込まれて栽培されてきたと考えられる。花穂および若芽の茎が食用とされる」

とありhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%A7%E3%82%A6%E3%82%AC

「高さは一メートルになる。全体が薑(しょうが)に似ている。葉の幅がやや広く、根から鱗状の苞のある白花を生ずる」

が(たべもの語源辞典)、

「通常『花みょうが』『みょうが』と呼ばれるものが花穂で、内部には開花前の蕾が3〜12個程度存在する。そのため、この部分を『花蕾』と呼ぶ場合もある。一方、若芽を軟白し、弱光で薄紅色に着色したものを『みょうがたけ』と呼ぶ。『花みょうが」は、晩夏から初秋にかけ発生し、秋を告げる風味として喜ばれ、一方『みょうがたけ』は春の食材である。地面から出た花穂が花開く前のものは『みょうがの子』と呼ばれる。俳句では夏の季語で、素麺の薬味などとして食される』

とあるhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%A7%E3%82%A6%E3%82%AC

Mioga.jpg



「ミョウガ」の「茗荷」は、当て字である。蘘荷(じょうか)は、

「『魏志』の倭人伝に『蘘荷』とあるので、これが日本のミョウガに関する最古の記載である」

とある(仝上)。日本で古くから栽培されてきた野菜の一つで、延喜式・大膳には、

「正月最勝王経斎会供養料(略)蘘荷漬、菁根漬各二」

と載る。更に、和名抄に、

「蘘荷(略)和名米加」

とあるので、古くは「メカ」と呼ばれていた(日本語源大辞典)。そこで、ミョウガの語原は、

メカ(芽香)の転、

とする説がある(広辞苑、日本語源広辞典)。ミョウガの香りに由来すると思われる。

めか(芽香)→めうか→みょうが、

という音韻変化を採る。しかし、「ショウガ」http://ppnetwork.seesaa.net/article/470901666.html?1571168100でも触れたように、

「大陸からショウガとともに持ち込まれた際、香りの強い方を「兄香(せのか)」、弱いほうを「妹香(めのか)」と呼んだ。これが後にショウガ・ミョウガに転訛した」

との説があるhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%A7%E3%82%A6%E3%82%AC

めのか(妹香)→みょうが、

の転訛とするのである。これについて、語源由来辞典は、

「みょうがは、古名を『めが』といい、奈良時代には『売我』『女我』と表記され、平安中期から中国名の漢字が使われた。『めが』の語源は、その香りから『芽香(メガ)』の意とする説と、ショウガを『兄香(セガ)』といったことから、男の称『セ』に対し女の称『メ』を当てた『女香(メガ)』とする説があるが、『芽香(メガ)』の説が一般的である。この『めが』が拗音化して、『みょうが』となったとされるが、(中略)平安中期には、『メガ、又はミャウガ』と記されており、『めが』が音変化して『みょうが』となったとすれば、この当時は『メウガ』と書かれるはずで、『ミャウガ』は『メガ』の音変化とは別とするものである。この問題をうめる説として、中国漢字の『めが』が、日本では漢音で『ジャウガ』、呉音で『ニャウガ』と発音されていたため、『ニャウガ』が『ミャウガ』となり、『ミョウガ』になったとする説があり、最も有力な説といえる」

と、「めか」説を否定している(大言海は「みょうが」を「めうが(蘘荷)」の誤りとしているので、「めうが」の表記がないというのは解せない)。ただ、「中国漢字の『めが』が、日本では漢音で『ジャウガ』、呉音で『ニャウガ』と発音されていたため、『ニャウガ』が『ミャウガ』となり、『ミョウガ』になったとする説」は、生姜(薑)が「乾薑」と対なので、ちょっと受け入れがたい。やはり、「芽香」と、香りに由来するとみるのが普通であろう。

なお、「茗荷」の当て字は、

「遅くとも室町期には『文明本節用集』に『名荷 みゃうか』、『運歩色葉』に『名荷 茗荷 蘘荷』とあるところから、ミョウガとよばれると共に、あて字『茗荷』が用いられ始めた」

ようだ(日本語源大辞典)。

「ミョウガ」を食べると、物忘れするといわれるのは、

「中国の蘇東坡の『東坡詩林』に『庚申三月十一日薑の粥食ふに甚だ美なり、歎じて曰く吾れ薑食ふこと多し』とある。つまりショウガを多く食べたので愚とになったというのである。それがショウガとミョウガを混同してしまって、ミョウガを多く食べると物忘れする、馬鹿になると言い出したものである」

とある(たべもの語源辞典)が、別に、

「釈迦の弟子で周梨槃特の塚から生えた草を愚鈍草と名付けた。槃特は、自分の名も覚えられないので、その名を書きつけた物を荷って歩いたところから、名を荷う、名荷とは、愚鈍草のことだ、という」

とある(仝上)。しかし南方熊楠によると、槃特比丘が性愚鈍だということを書いたものはあるが、名荷の話は日本人の創作である、という(仝上)。「茗荷」に当てて以降の作り話である。

参考文献;
清水桂一『たべもの語源辞典』(東京堂出版)
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

posted by Toshi at 04:44| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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