2019年10月29日

クルミ


「クルミ」は、

胡桃、
山胡桃、

と当てる(広辞苑)。食用の利用としては、縄文時代から種実の出土事例があり、オニグルミを中心に食料として利用されていたと考えられている。オニグルミ、ヒメグルミ、ノグルミなどの名が天平時代から用いられている(たべもの語源辞典)らしい。また、

「もっとも古い記録は、天平宝字六年(七六二)十二月の『東大寺正倉院文書』に、『十八文買胡桃二升直』とあるのがそれで、次に現れるのが、大同二年(八〇七)斎部広成の撰になる『古語拾遺』に(略)『呉桃』の葉を添えて」

とありhttp://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000156162

「『延喜式』に貢納物のひとつとして記されているほか、『年料別貢雑物』では甲斐国や越前国、加賀国においてクルミの貢納が規定されており、平城宮跡出土の木簡にもクルミの貢進が記されている」

というhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AB%E3%83%9F

日本に自生している胡桃の大半はオニグルミといい、核はゴツゴツとして非常に硬く、種子(仁)が取り出しにくい、ともある(仝上)。

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「オニグルミという名は、核面のなめらかなヒメグルミに比べて、凹凸がひどいことからであるが、ヒメ(姫)は、やさしいとか柔らかいということからつけられた。ノグルミは野グルミで、まったくちがう種類の木であるが、樹がクルミに似ており野山に生える。他にサワグルミというのもある。これは沢グルミで、渓流のわきに生えるからである。カワグルミとかフジグルミともよぶが、実は食用にならない。…また、テウチグルミとよばれるものは、クルミの中で最も大きくその殻が柔らかく、手で割ることができるのでその名がある。食用として最も多く用いられ」

ている(たべもの語源辞典)、とある。

「クルミの食用となる部分は、果実の中にある仁である。仁は生でも食べるし、干したものも用いる。クルミの核は、一日ほど水につけておいてから、水気をぬぐい去って、火であぶるとすぐ割れ、仁はたやすくとれる。クルミをしぼった油は食用とするほか、種々の皮膚病にも利用され、また木器具の艶だしに使われていた。樹皮や果実の煎汁は茶褐色に、果実を黒焼きにしたものは鼠色の染料になった」(仝上)

クルミの漢名は、

核桃(かくとう)、
羗桃(きょうとう)、
万歳子(ばんざいし)、
播羅師(はんらし)、

等々あるが、「胡桃」は、

「漢の張騫が西域に使いしたとき持ち帰り、中国に伝わったという。胡から持ってきた桃というので胡桃とよぶという。実果が桃に似ていたので胡桃とした」

とある(仝上)。

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「クルミ」の語源は、大言海は、

「呉桃ともあれば、呉果(クレミ)の轉ならむ(呉(クレ)は、韓語にて、クルなり。)」

とする。同趣に説に、

呉国から渡ったものであるとちころから呉実(クレミ)の転(日本釈名・滑稽雑誌所引和訓義解・東雅)、

がある。その他、

クロミ(黒実)の転か(翁草)、
その殻の堅いところから、コルミ(凝実)の転(滑稽雑誌所引和訓義解)、
殻の中に屈曲して実があるところから、クルミ(屈実)の義(和語私臆鈔)、
円実の義(箋注和名抄)、
コモリミ(籠子)の義(言元梯)、
殻が実を包んでいるところから、クルム(包)の義(名言通)、
カラクルミミ(殻包括実)の義(日本語原学=林甕臣)、
ころころとコクル(転)ところからか(和句解)、
カル‐ミ(実)の転(名語記)、

諸説ある。「クルミ」は、古く、

「『古語拾遺』には、呉桃(クルミ)とあり、『延喜式』には呉桃子(クルミ)とある」

と「呉桃」と当ててきた。「呉桃」説をとりたいが、これは和語「くるみ」に漢字を当てて訓ませていただけで、「クルミ」の語原とは言えない。たべもの語源辞典は、

クルミ(屈実)説を採り、

「仁を食べることは実に早く知られていた。クルミの果実を見たとき、その食べられるところが大切なことを感じたであろう。そして、その核を堅くでこぼこしているものとしてよんだ」

と説く。しかし、「クリ」http://ppnetwork.seesaa.net/article/458882224.htmlで触れたように、日本語の語源は,

「栗の実は焦げ茶色,胡桃の核は褐色であるが,ともにクロミ(黒実)といった。ロミ[r(om)i]の縮約でクリ(栗・万葉)になり,『ロ』が母韻交替[ou]をとげてクルミ(胡桃。源)になった。」

としている。「栗」が、

くろ(黒)み→くり(栗),

なら、「クルミ」は、

くろ(黒)み→クルミ

でいいのかもしれない。

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参考文献;
田井信之『日本語の語源』(角川書店)
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

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