2019年12月23日

フキ


「フキ」は、

蕗、
苳、
款冬、
菜蕗、

等々と当てる。しかし、「ツハブキ」http://ppnetwork.seesaa.net/article/472752291.html?1576873612で触れたように、

「『フキ(蕗)』の由来は、『フフキ(布布岐)』と呼んでいたフキ(蕗)に対して、我が国最古の本草書。医学の事典として薬名を記した書物で、動植物、鉱物などを載せている『本草和名』では、漢名の『款苳(カントウ)』をあて、『和名抄』では『蕗』の漢字をあてた。ところが、日本のフキ(蕗)と同じ植物は、中国では『蜂斗菜(ホウトサイ)』と書き、『款苳・蕗』のどちらも、誤用であったことが、分かっているが、『和名抄』の「蕗」の漢字の用法が現在に定着している。」

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%84%E3%83%AF%E3%83%96%E3%82%AD、誤用であり、「蕗」(漢音ロ、呉音ル)は、薬草の、

カンゾウ(甘草)、

を指す、とある(漢字源)。「苳」(トウ)は、

苣苳(きょとう)は冬に生える草の名、

とある(仝上)。「款冬」(カントウ)は、

ツワブキ、

の別名ともする。

「款は、たたくで、寒い冬に凍った氷を叩き割って出てくるという意」

である(たべもの語源辞典)。「フキ」の原産地は、

樺太・千島、

で、早くから日本に伝搬した(仝上)。2mほどにも伸びる秋田蕗(アキタブキ)は、大きく、

馬に乗った人に下からさしかける傘にもできる、

が(仝上)、

「巨大な蕗は倍数体によるものである。特に寒冷地では牧草地で大繁殖する。家畜が食べないので畜産農家からは嫌われている」

というhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%AD

「昔の人は、葉・花・根を煎じて、その汁を飲んで健胃剤とし、解熱剤・下虫剤にもなった。葉をもんで傷口に付けると早く治る。葉のしぼり汁は血止めになり、根のしぼり汁も傷を治す。毒虫に刺されたときは、葉をもんでつける。日陰乾しにして、これを一日約10gずつ煎じて飲むと、鎮咳・袪痰・喘息・肺疾の薬になった」

ともある(たべもの語源辞典)。また、茎を醤油でキャラ色になるまで煮しめた「きゃらぶき」の「キャラ」は、

「梵語で、香木の名、キャラ色とは濃い茶色」

である(仝上)、とか。

蕗.jpg


「フキ」は、『本草和名』『和名抄』で知られるように、古名は、

フフキ、

である(日本語源大辞典)。したがって、

フユキ(冬黄)の中略。冬に黄色の花が咲くところから(和句解・日本釈名・滑稽雑談)、
ハヒロクキ(葉広茎)、ヒロハグキ(広葉茎)の義(日本語原学=林甕臣)、
ふきの葉は大きく少しの風でも揺れることから、『ハフキ(葉吹き)』『フフキ(風吹き)』の意、
用便の後、おしりを拭く紙の代わりに蕗の葉を使用したことから、『拭き』が語源
ふきははが大きく、傘などに用いたことから、『葺く』の変化、

等々という説は、古名「フフキ」とつながらないので、間違いとみられる。

では「フフキ」はどこから来たか。

(芽が)フユフキ(冬吹き)草・フフキ(古名)・フキ(蕗)、

と、転嫁させた説(日本語の語源)は、

「フフキ以前にフユフキクサという称があったのかどうか」

と疑問とする(たべもの語源辞典)。この他に、

「フフキ(含む)」で、含んでいる草。菫・茎・葉、などを含んでいる草の意、
「フフケルのフフキ」。花がふんわりとほぐれて開く意、

とする(日本語源広辞典)説もあるが、たべもの語源辞典は、

「フキは、大きな葉の植物なので、風に吹かれるとその葉が揺れる。風は見えないが葉が揺れる。その見えないものを植物に感じて、その植物と風とからフキフキとよんだ。そのキが省略されてフフキとなった」

とする。ちょっとロマンチックすぎるが、この説に肩入れしておく。他に、

「葉茎を折ると、皮が糸状の筋を引くので古名を『布布岐』」

というのもあるhttps://plumkiw948.at.webry.info/201002/article_12.html

参考文献;
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
清水桂一『たべもの語源辞典』(東京堂出版)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

ラベル:フキ 款冬 菜蕗
posted by Toshi at 05:31| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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