「梁」は、
はり、
と訓むが、
うつばり、
とも訓む。「はり」は、
うつばりの略、
とある(大言海)。「うつばり」は、
平安時代まではウツハリと清音、ウツ(内)ハリ(張)の意、
とある(岩波古語辞典)。大言海にも、「うつばり」は、
ウチバリ、
ともいう、とあり、
内張(ウチバリ)の転にて、屋根内にて柱頭に張り渡すものの意か、
とし、
ウツアシ、
ウチアシ、
ともいう、とある。
「梁」は、
上部の重みを支えるため、あるいは、柱を固定するために、柱上に架する水平材、
とある(広辞苑)。「桁」(けた)と区別して、
棟と直角にかけたもの、
を、
梁、
と呼ぶ、ともある。で、「桁」は、
建造物において柱間に架ける水平部材、
をいうが、
短辺方向に渡された横架材、
を「梁」といい、
梁と直交する長辺に渡される部材、
を「桁」という(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A1%81_(%E5%BB%BA%E7%AF%89))、とあり、
建物の桁行方向(長辺方向)に架ける水平方向の部材が、「桁(軒桁)」です。なお、妻方向に架ける水平部材を「梁」といいます、
とある(http://kentiku-kouzou.jp/kouzoukeisan-keta.html)。
(梁の構造 https://allabout.co.jp/gm/gc/468049/より)
「梁」には、
棟木と直行する方向に横に渡して、建物の上から荷重を支える部材、小屋梁(こやばり)、
柱と柱で支えられている、大梁(おおばり)
大梁に支えられている、小梁(こばり)
床を支える、床梁(ゆかばり)
二階の床下の梁や胴差しの隅のところに斜めに入れて、地震等による建物の変形を防ぐ部材床や小屋組に設ける、火打梁(ひうちばり)
等々がある、という(https://allabout.co.jp/gm/gc/468049/)が、大言海の言う、
家の柱の上に、棟と打違ひに亙し、棟を負ひ、屋根を支ふる材、
つまり、
棟木を受ける木、
であり、
横木の総称で、特に棟と直角に渡すものをいう、
ともある(日本語源広辞典)。小屋梁は、
小屋組の最下部に水平に配した材、
であり、小屋組は、
小屋組は家の屋根を支え受けるために組み立てた骨組、
である(広辞苑)。昔から、
大黒柱が立つと、棟梁が始まる、
という。建物の棟(むね)と梁(はり)である。ついでに、床板を支えている梁が、
床梁、
で、それを支える梁が、
大梁、
と
小梁、
であり、
「柱に床の荷重を伝える為に大梁は柱と柱の間にかけられます。(必ず梁間の小さい方へ掛け渡す)そうすると集中的に大梁に荷重が掛かるので、大梁の上の直角方向へ小梁を一間間隔で取り付けると床の荷重を均等に大梁へ伝えられるようになります。簡単に言うと、床の荷重→小梁→大梁→柱→土台といった感じです。」
とある(https://unchiku.kkf.co.jp/archives/487)。
ところで、漢字「梁」(漢音リョウ、呉音ロウ)は、
「会意。もと『水+両側に刃のついた刀のかたち』からなる会意文字。のちさらに木を加えた。左右の両岸に支柱を立てて、その上に掛けた木の橋である。両岸にわたるからリョウといい、両と同系」
とある(漢字源)。つまり、「梁」は、左右の両岸に支柱を立ててその上にかけた木の橋、の意である。橋梁(きょうりょう)の意である。建物の場合は
家うち(内)ということで内張り(内張)となり、梁(はり)となった、
とある(https://allabout.co.jp/gm/gc/468049/)。
柱の上に張り渡す、
という意から、
柱の上に内から張って棟を受けることからウツバリ(内張)の義(国語の語根とその分類=大島正健)、
家の中をはることから(俚言集覧)、
と、どの説も、
張り、
と関連付けている。
参考文献;
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)
大槻文彦『大言海』(冨山房)
ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95