2020年02月22日

寺銭


「寺銭」とは、

てらせん、

あるいは、

てらぜに、

とも訓み、

ばくちや花札などで、その場所の借賃として、出来高の幾分かを貸元または席主に支払うもの、

の意(広辞苑)で、正確には、

博奕場(ばくちば)を開く貸元の収入になる金。その日の賭金(かけきん)総額中の幾分かを寺銭

とし(百科事典マイペディア)、

さいころ丁半賭博の賭場では,勝った客が取得する金額の5%を寺銭とし,2個のさいころがゾロ目といって同じ目になったときだけ,10%の寺銭をとった、

とか(世界大百科事典)、

寺銭は勝ったほうからとるが、賭(か)け金の四分が原則で、ほかに、六の目がそろったときは1割、二つの目がそろったとき、または丁で2、4、6、半で7の目数が出たときだけとる、

などいろいろな方法が行われている(日本大百科全書)が、

賭博の勝負毎にその縄張の親分に奉る口銭で、これは普通中盆が集め寺箱に納めて親分に届けるものである、

とある(隠語大辞典)。「中盆」(なかぼん)というのは、

盆の中央丁の側に座し賭金の賭け合せの指図、賭金の受渡及寺銭の徴集を為す役、

を指し、

胴元の助成者。賭場の議事進行係ともいうべきもので賭博運行には絶大の権力をもつている。振子が壷を振つて伏せるのは中盆の号令による。又寺銭を集めて寺箱を親分の代理に保管するのも中盆である、

とある(仝上)。「胴元」とは、

賭博の開帳者、

で、

寺銭をとる者、

であるが、

胴親、
胴取、

ともいう。

賭博の胴即ち壷皿の権利を持つてゐる親分の意、

である(仝上)。「寺銭」は、

寺金(てらきん)、

とも、単に、

てら、

ともいう(広辞苑)、とある。江戸語大辞典の言うように、

賭博開帳者の徴収する口銭、

つまり、

手数料、

である。「寺銭」の語源は、

江戸時代に寺社の境内を賭博を行う場として選び、賭博による儲けの幾らかを寺社に寄進していたことからこう呼ばれるようになったという

説が多いhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AF%BA%E9%8A%AD。寺社の敷地内は寺社奉行の管轄であり、違法な賭博が開催されても町奉行による捜査・検挙が困難だったからだ(仝上)、というのである。

江戸時代に取締りがゆるやかだった寺社奉行支配下の寺社の境内に,仮設の賭博場をつくり,賽銭勘定場と称し,手数料のもうけを寺へ寄進する形式をとったことに由来するという。のちに一般の賭博場でも寺銭というようになった。関西ではカスリともいう、

ともある(世界大百科事典)。別に、

寺銭は、その賭博場を縄張りとする親分が開帳したときの名称で、他人の縄張りを借りて開帳したときは「かすり」といい、親分が隠居したのち新しい親分から隠居料として利益の何割かを受け取るのを「こく取り」という、

ともある(日本大百科全書)。この方が正確であろうか。

確かに、

寺銭という名称は江戸時代につくられたもので、その由来については、寺で賭博を開帳したから、寺の建立費にあてたから、

などといわれる(仝上)が、どうもこういう語源が、理屈ばっているときは当てにならない。寺でやっているから、寺銭というのは、いかがなものだろう。

サイコロ.jpg


江戸語大辞典は、

寺は照の意で、灯を照らす料金の意、

とする。あるいは、

盆の上を白い布で覆うところから、褞袍(どてら)のてらと同じく、布をてらといい、盆茣蓙(ござ)の上の手数料という意味でてら銭といったとする、

説がある(日本大百科全書)。他にも、

ドテラ(温)、テテラ(褌)などのテラと同義で、布や布団の意味である、

としているものがあるhttp://www.usamimi.info/~kintuba/zingi/zingidic-ta.html

しかし、隠語として、「てら」の意は、

火ノコトヲ云フ、
燈火ノコトヲ云フ、

とあり(隠語大事典)、さらに、「テラ」を、

宿ノ主人ノコトヲ云フ、

というのもある(仝上)。どれもそれらしく思えるが、「寺銭」は、

博徒の親分が賭場を開帳した節、そのバクチ場に集まってきた多くの人々を保護する代償として、客人の利益の内から、頭をはねるその銭のこと、

であり、

昔は賭博場の灯火代として「照銭」を集めたのがいつか寺銭となったもの、

とある(仝上)のを採りたい。江戸語大辞典の説である。

「てら」は「照す」の意にて接尾語、接頭語として諸種の言葉を作る。例へば「てらあがる」と云へば「日が上る」との意にて「たかてら」と云へば、「提灯」のことである、

ともある(仝上)のである。この「てら」からきているのではあるまいか。

参考文献;
前田勇編『江戸語大辞典 新装版』(講談社)
大槻文彦『大言海』(冨山房)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

ラベル:寺金 胴元 中盆 寺銭
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posted by Toshi at 05:03| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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