2020年03月07日

甘茶


「甘茶(あまちゃ)」は、

アジサイ科の落葉低木のアジサイ(学名:Hydrangea macrophylla)の変種である。 ガクアジサイ(Hydrangea macrophylla f. normalis)に良く似ている、

とあるhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%98%E8%8C%B6。というより、

ヤマアジサイ、

に似ているが、この「アマチャ」は、

学名:Hydrangea macrophylla var. thunbergii、

とある(仝上)。しかし、これを、

学名 Hydrangea macrophylla subsp.serrata、

ユキノシタ科の落葉低木、

とするものもある(大辞林、植物名辞典、広辞苑)。

甘茶.jpg

(あまちゃ (甘茶)  https://www.weblio.jp/content/%E7%94%98%E8%8C%B6より)


「甘茶」は、葉に甘味の成分(フィロズルチン)が含まれ、この葉を乾燥・発酵させると、「甘茶」がでる(植物図鑑)ので、

その若い葉を蒸して揉み、乾燥させたもの、およびそれを煎じて作った飲料のこと、

も指す(仝上)。ウリ科のつる性多年草であるアマチャヅルの葉または全草を使った茶も甘茶ということもあるが、「アマチャ」を使った甘茶が本来の甘茶である、ともある(仝上)。また、

灌仏会(花祭り)の際に仏像に注ぎかけるものとして古くから用いられた。これは、釈迦の生誕時に八大竜王がこれを祝って産湯に甘露を注いだという故事によるものである、

ともある(仝上)が、別に、

アマチャ・アマチャヅルの葉を蒸してもみ、乾燥したものを煎(せん)じた飲料。黄褐色で甘みが強く、食品の甘味料ともする。四月八日の灌仏会(かんぶつえ)に釈迦像にかけ、また、飲む、

とある(大辞林、広辞苑)。こちらは、灌仏会に使うのは、

アマチャヅル、

より採ったもの、とする(仝上)。

アマチャヅル.jpg



「アマチャヅル」(甘茶蔓、Gynostemma pentaphyllum)は、

ウリ科アマチャヅル属に属する多年生のツル性の植物、

あるhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%9E%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%85%E3%83%AB

どれも「甘茶」といったらしいが、

この茶をつくる植物はいくつかある、

という(たべもの語源辞典)。

ひとつは、

アマヅル、
アマヅラ、

と呼ばれ、別名、

ツタ、
ナツヅタ、

その幹から液を採って煮詰めて甘味料をつくった、

とある。ツル性の植物で、甘い液の出るツルがその名になった(たべもの語源辞典)。今日、

アマヅル、

別に、

男葡萄、

の名のある、

ブドウ科ブドウ属、学名Vitis saccharifera、

https://matsue-hana.com/hana/otokobudou.html、「アマヅラ」とも呼ばれた古くからある「アマヅル」とは別のようで、

一般的にはブドウ科のツル性植物(ツタ(蔦)など)のことを指しているといわれる。一方で、アマチャヅルのことを指すという説もあり、どの植物かは明かではない、

とあり、どの植物を指すかはっきりしないhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%9E%E3%83%85%E3%83%A9

アマヅル.jpg



「アマヅル」が、ツタと呼ばれたのは、

ツタフ(伝)、

という意からのようで(たべもの語源辞典)、

「アマヅラ(甘葛)は、春若芽の出る前にそのツルを取って煎じ詰めた用いた(甘葛煎)」

とある(仝上)。

今ひとつは、冒頭に挙げた、ヤマアジサイ(あるいはガクアジサイ)に似た、

ユキノシタ科の落葉低木、

で、

コアマチャ、

とも呼ばれるものがある(仝上)。これを、

アマチャ、

といい、

その葉を乾かすと甘くなるので、甘茶をつくった。漢名で土常山(どじょうざん)と称するのがこれであり、アマチャの木という。虎耳草(こじそう)の葉から甘茶をつくると書いたものがあるが、虎耳草はユキノシタの漢名である。コマチャが虎耳草科なので虎耳草としたのであろう」

とある(仝上)。

三つめは、前述のウリ科の、

アマチャヅル、

である。

ツルアマチャ、
アマカヅラ、

ともいい、

夏から秋にかけて新芽をとって蒸してからよく揉み、青汁をとり除いてから乾燥させる。黄褐色で甘みが強く、香りがよいので、飲料とした、

とある(仝上)。

「甘茶」は、

アーウマシがつまってアマ(甘)シという言葉となった、

といわれ、「甘茶」とは、

うまい茶、

の意だと、たべもの語源辞典はいう。しかし、大言海は、

甘葛煎(あまづらせん)、是れなるべし、

とする。「甘茶」を、

甘葛(あまづら)、

とみなした故だろう。しかし、「甘茶」について、

土常山の葉を摘み取りて、蒸し揉みて、青汁を去り、干して茶に製す、

という説明は、「アマチャ(子アマチャ)」の説明であり、ちょっと矛盾がある。ここでは、

「うまし」

に与しておく。

参考文献;
清水桂一『たべもの語源辞典』(東京堂出版)
大槻文彦『大言海』(冨山房)

ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

posted by Toshi at 04:42| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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