2020年03月28日
ラッキョウ
「ラッキョウ」は、
辣韮、
薤、
辣韭、
等々と当てる。別名、
オオニラ、
オオミラ、
サトニラ、
ヤマムラサキ、
タマムラサキ、
とある(たべもの語源辞典)。古く、「薤」を、オオニラ、「韮」をコニラと称したが、オオニラはラッキョウ、コニラはニラである、とある(仝上)。漢名は、
火葱(かそう)、
菜芝(さしい)、
白華、
守宅、
家芝、
白薤(はくきょ)、
葷菜(ぐんさい)、
鴻薈(こうかい)、
等々とある(仝上)。
ニンニク、
ネギ、
ヒル、
ニラ、
と共に、
五葷(くん)のひとつとされる(仝上)。「葷(クン)」(「艸+音符軍(なかにこもる、むれる)」)は、
ねぎ、にら、などにおいの強い菜、また味の辛い菜、
の意味である。
ユリ科ネギ属の多年草。中国、ヒマラヤ地方の原産。白色または紫色を帯びた白色の鱗茎を食用とする。中国で紀元前3世紀以前から栽培され、日本へは9世紀までには中国から伝来し、ナメミラ、オホミラなどとよばれ、古くは薬用に、江戸時代ころには野菜として全国的に普及した。
とある(日本大百科全書)。「ラッキョウ」の名は、
中国名の一つ辣韮(らっきゅう)に由来するが、平安時代はニラ(美良(みら))に対応して於保美良(おほみら)(大ニラ)とよばれた。ニンニク、ニラ、ネギ、ショウガとともに五葷(くん)の一つとされ、禅寺では「不許葷酒(くんしゅ)入山門」と、持ち込みを嫌った、
とある(仝上)。
辣韮、
薤、
辣韭、
と「ラッキョウ」に当てる、「辣」(漢音ラツ、呉音ラチ)は、
会意兼形声。「辛+音符刺(ラツ さすようにいたむ)の略体、
で(漢字源)、「ぴりりとからい」意。「韮(韭)」(キュウ)は、
象形。地上に、にらが生え出た姿を描いたもの、
とある(仝上)。「にら」の意である。「薤」(漢音カイ、呉音ゲ)は、
会意文字。「艸+歹(死人の骨)+韮(にら)」、
で(仝上)、「にら」の意だが、「らっきょう」の意である。で、中国語、
辣韮(韭)、
の音、
ラッキュウの転、
が、
ラッキョウ、
である(大言海)。
鱗茎(りんけい)は狭卵形で、葉を束生する。葉は細長く約20センチメートル、断面が五角である。秋に葉の枯れた鱗茎から50センチメートル余りの花茎を出し、先端に美しい紫色の小花を球状につける。しかし種子はできない。古い鱗茎には数個の新しい鱗茎ができて繁殖する。冬を越して初夏に鱗茎が成熟して休眠に入るので、このころに掘り上げて収穫する、
とある(日本大百科全書)が、秋咲く紫小花は。ニラ(韮)より大きい、とある(大言海)、たべもの語源辞典)。ニラについてはすでに触れた(http://ppnetwork.seesaa.net/article/461598032.html)。
タマムラサキ、
ヤマムラサキ、
の名は、この花からきている(たべもの語源辞典)。
ラッキョウは品種が少なく、
ラクダ、
と
八ツ房、
の二種しかなく、新品種の、
玉ラッキョウ、
が花ラッキョウ(両端(ハナ)を切るからそう呼ぶ)の原料になる(仝上)、らしい。ちなみに、
ギョウジャニンニク、
と呼ばれるものは、
深山に生えるものを修行中の行者が食用にすることで名づけられたが、ラッキョウとは別物で、漢名は、
茖葱、
とある(仝上)。
参考文献;
清水桂一『たべもの語源辞典』(東京堂出版)
ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95
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