2020年04月23日

薬缶


「薬缶」は、

薬罐、
薬鑵、

とも当てる。

湯沸かしに用いられる、主に土瓶形の道具、

である。

やかん.jpg



漢字「缶」と「罐」は使い分けられているらしい。

「缶」(カン(クワン)、漢音フウ、呉音フ)は、

象形。まるく腹がふくれて、中に包み込むような形をした土器を描いたもの。広く土器をあらわす、

「罐」(カン(クワン)、漢音フウ、呉音フ)は、

形声。右のつくりが音を表す、

とし(漢字源)、「缶」は、

腹部がまるくふくれた土器、
まるくふくれた瓦製の打楽器、

を指し、「罐」は、

水をくむ器、つるべ、
ものを貯蔵するまるい器、
金属製の円筒状の入れ物、
金属製の湯沸かし器、

といった意味になる。「缶」を当てて、常用漢字では、罐の音と意味に用いる(仝上)、とある。要は、「缶」のもとの意味ではなく、「罐」の意味の金属製の容器の意で用いている、ということになる。

「鑵」(カン)は、罐と同じ意味でつかい、

薬罐、
薬鑵、

と使う。「罐」「缶」は、

ほとぎ(古くは「ほとき」)、

とも訓ませ、

酒や水などを入れた、同が太く口の小さい土器、

の意で、「缶」の本来の意味に合わせて当てていた、と思われる。「ほとぎ」は、後に、

湯殿で産湯に用いた甕、

の意に転ずる。漢字の「缶(ほとぎ)偏」に生きている。

「薬缶」の発祥は、中国の注ぎ口と取っ手のある生薬用の加熱器具である、

銚子(ちょうし)、

であるhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8A%9A%E5%AD%90。「銚子」は、別名、

薬缶、
薬銚、
沙銚、

入り口は大きく、蓋付きで、生薬を煎じて湯液を作る時、湯を沸かす時に使われた。陶器のものは、

沙銚、

茶を淹れるものは、

茶銚、

とも呼ばれたhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%84%E3%81%8B%E3%82%93。酒器となった「銚子」については、「徳利」http://ppnetwork.seesaa.net/article/474699082.html?1587495610で触れた。日本語の「やかん」は、

漢方薬を煎じるために使用されていた薬鑵(やくくわん)が変化したものとされ、漢字では「薬缶」と表記されるようになった、

とあり(仝上)、「薬缶」を、

ヤククワン→ヤククワン→ヤクワン→ヤッカン→ヤカン、

と転化して来たもの、ということになる。日葡辞書には、「薬缶」は、

今では湯を沸かす、ある種の深鍋の意で用いられている、

とあり、中世末には既に湯を沸かす道具として用いられていたようである(語源由来辞典)が、銅製のものなどが多かったらしい、とあるhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%84%E3%81%8B%E3%82%93

また、茶の湯釜に注ぎ口と鉉(つる)を付けたものは鉄薬鑵(てつやかん)と称されており、その後「薬鑵釜」や「手取り釜」と称され、さらに「鉄瓶」と名付けられるようになったといわれている(仝上)、とある。

東海道五十三次之内 袋井 出茶屋・部分.jpg

(歌川広重「東海道五十三次」袋井・出茶屋ノ図・部分 http://chisoku.jp/collection/au-0014/i00393/より)


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スキル事典;
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書評;
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posted by Toshi at 03:47| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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