「独楽」は、孟子に、
獨樂樂、與人樂樂、孰樂、
とあるように、
独りで楽しむ、
意だが、
児童の玩具、コマ、
の意もある(字源)。しかし、
「獨楽」は古代中国で「コマ」を意味する漢字として使われていたということです。その後中国では「獨楽(ドゥーラー)」の類音である「陀螺(トゥオルオ)」が「コマ」を意味する漢字として使われるようになるとともに、「獨楽」はコマを意味する漢字としては死語となり消滅したものと考えます、
とある(http://www.tokorozawa.saitama.med.or.jp/machida/komanogogenn.htm)。ただ、「陀螺」は、
(ひもで巻いたり、むちでしごいて回す)こま、ぶちごま.
の意(https://cjjc.weblio.jp/content/%E9%99%80%E8%9E%BA)とあり、「獨樂」は、
こま、こまつぶり、
とある(https://cjjc.weblio.jp/content/%E7%8B%AC%E6%A5%BD)ので、消滅したかどうかははっきりしない。
(ブリューゲル「子どもの遊戯」部分、子供がぶちゴマであそぶ図 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%B6%E3%81%A1%E3%82%B4%E3%83%9Eより)
「独楽」には、
ひねりゴマ(軸を指で捻る事で回すもの)、
ぶちゴマ(不精ゴマ、叩きゴマ、鞭ゴマとも 鞭のようなもので叩いて回すもの)、
投げゴマ(紐巻きゴマとも 胴体部分に螺旋状に紐を巻き付け、独楽本体を放り投げることで回すもの)、
がある(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8B%AC%E6%A5%BD)。
ぶちゴマは、ヨーロッパではむしろこちらの方がなじまれているらしいが、日本にはなじみが薄い。しかし、
6世紀ころにぶちゴマのような木製の出土品があるが、確実にぶちゴマだとは言い切れない。また、平城京跡や奈良県藤原宮跡などからも7 - 10世紀ごろのものと思われる独楽、または独楽型の木製品が出土している。平安時代ごろにはすでに大陸から伝わっており、独楽を使って遊んでいたと言う記録がある。これもぶちゴマであったらしい、
とある(仝上)。どうやら、伝来らしいが、そのため、大言海は、
コマは、高麗の軍兵歌舞興楽楽をなす、此の楽を、日本紀に、コマと訓ぜり(外来語辞典)、其技の廻轉するより轉じて玩具の称となれり、
とある。この時代は高句麗(高麗(こま)と呼んでいた)は、紀元前1世紀頃~668年、この間に渡来したということになる。日本語源広辞典も、
高麗(こま)が語源、
とし、二説挙げる。
説1は、高麗の軍兵のしていた身体を回転させる舞に由来して、回転する遊び道具をコマといった、
説2は、高麗から伝えられたから、
とする。で、
和語「こま」は、「こま」の古名、
こまつぶりの略、
とする(広辞苑)。倭名抄には、
弁色立成云々、獨樂、有孔者也、古末都玖利(こまつくり)、
とあり、その箋注本には、
都无求里(つむくり)、
とあるが、大鏡には、
こまつぶり、
とある。
高麗経由で日本に渡来したらしい。円形の意のツブリに、高麗から伝来したことを示すコマを冠したコマツブリが、下略されてコマとなったと考えるのが穏当か、
とある(日本語源大辞典)。
「ツブ」は、「かたつむり」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/460441943.html)で触れたように、
粒・丸、
と当て、
「つぶし(腿)・ツブリ・ツブラ(円)・ツブサニと同根」
とあり、「ツブリ(頭)」は、
「ツブ(粒)と同根」
とある。「ツビ」(粒)ともいい、「つぶ(螺)」は、
ツビ、
とも言い、「つぶら」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/464485052.html)で触れたように、「つぶら」の「ツブ」は、
粒、
と関わり、「ツブ」は、
ツブラ(円)、
と関わる。「粒」は、
円いもの、
と重なり、「粒」「丸」「円」「螺」は、ほぼ同じと見なしたらしいのである。
参考文献;
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)
大槻文彦『大言海』(冨山房)
ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95
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