「ひっちゃかめっちゃか」は、
しっちゃかめっちゃか、
の訛りとされる。
混乱・散乱したさま、
をいうが、
めちゃくちゃ、
と同義である。めちゃくちゃ(http://ppnetwork.seesaa.net/article/475079100.html?1589394948)と同様、擬態語と思われ、乱雑度は、
めちゃくちゃ、
よりは勝る、というニュアンスである。他に、
しっちゃぐっちゃ、
しっちゃごっちゃ、
しっちゃがめっちゃが、
しっちゃがめんちゃが、
しっちょくわっちょ、
やっちゃぐっちゃ、
といった訛もあるらしい(http://www1.tmtv.ne.jp/~kadoya-sogo/ibaraki-si.html)。
「しっちゃかめっちゃか」について、触れたものはあまりないが、その語源について、
古代の弦楽器「弛衣茶伽(ちゃいか)」の弦が23本もあり、ちょっとやそっとでは演奏できない難物であったから、
不器量な女性を意味する隠語「しっちゃか面子(めんつ)」から、
と(https://d.hatena.ne.jp/keyword/%E3%81%97%E3%81%A3%E3%81%A1%E3%82%83%E3%81%8B%E3%82%81%E3%81%A3%E3%81%A1%E3%82%83%E3%81%8B)挙げるものがある。ただ、
弛衣茶伽(ちゃいか)、
については、はっきりわからないことと、
しっちゃかめんつ、
は、
しっちゃかめっちゃか、
があって意味を成す言葉の様に感じるので、先後が逆かもしれない。
憶説になるが、「めっちゃか」は、
めちゃ(滅茶)、
の促音化、
めっちゃ、
と関わるのではないか、という気がする。
「しっちゃか」は、まったく当たりのつく言葉がないが、江戸語大辞典に、
しっちなぐる、
という言葉があり、
引きしゃなぐる、
の転訛とし、
ひっしゃなぐる→しっしゃなぐる→しっちゃなぐる→しっちなぐる、
と訛ったとする。「引きしゃなぐる」とは、
引きちぎって取る、
掻きむしって取る、
ひったくるようにして取る、
といった意味で、
むしり取る、
という意味である。もし、この「ひったくる」含意が「しっちゃか」にあるとすると、
しっちゃかめっちゃか、
は、単に状態表現ではなく、
むしりとって滅茶滅茶にする、
という、主体の行為を表しているのかもしれない。とすると、
しっちゃかめっちゃか→ひっちゃかめっちゃか、
の転訛ではなく、
ひっちゃかめっちゃか→しっちゃかめっちゃか、
の転訛ということになる。他に、方言で、
引き裂く、
という意味で、
しっちゃぐ、
しっちゃく、
と言い、
裂ける、
破れる、
という意味で、
しっちゃげる
という言い回しもある(仝上)。そういえば、
ひっちゃぶる、
しっちゃぶる、
という言い方で、
裂く、
破る、
を強調する言い方もある。この「ひっ」は、「引く」の促音である。やはり、「ひっちゃか」「しっちゃか」は、
引く、
ということで、その動作の主体の意志を強く言い表している含意に思われる。もちろん憶説だが。
参考文献;
前田勇編『江戸語大辞典 新装版』(講談社)
ホームページ;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;
http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95
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