2020年07月05日

きなこ


「きなこ」は、

黄粉、

と当てる。

大豆を炒って碾いて粉にしたもの、

である(広辞苑)。

加熱により大豆特有の臭みが抜け、香ばしい香りになる。粗砕きした段階で皮を除き、更に粉砕するが、皮を除かないものもある、

ともあるhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8D%E3%81%AA%E7%B2%89。粉にすると、豆の色によって、

青豆粉、
黄豆粉、

のになる(たべもの語源辞典)。一般的に「きな粉」というと「黄豆粉」を指し、青豆粉は鶯粉、青きな粉などと呼ばれる(仝上)。豆粉は、

青大豆をざっと炒って、三分の一ほど皮きれるほど、喰ってみて生ぐさけのなくなるときをよしとして粉にする、

という(たべもの語源辞典)。

安倍川もち.jpg


きな粉は古くから食品として用いられてきたが、もともとは、和名類聚鈔に、

大豆麩 まめつき(「末女豆岐」とも)、

とあり(たべもの語源辞典)、

まめつき、

と呼んだ。

ツキ、

とあるのは、

豆を臼で搗いて粉にしたもの、

ということになる(仝上)。「麩」とは、

粉末のこと、

で、

大豆を炒ってから臼で搗いて粉にふるい分けるという工程から、

名前がついたhttps://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000190493、とある。

「きな粉」という呼び名は、その外観から出た、

女房ことば、

が元と考えられ、室町時代の『女房躾書』にその名が記されているが、この呼び方は上流階級に限られ、一般的には「豆の粉」と呼ばれていたhttps://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000190493とある。室町時代の、『厨事類記』『大草家料理書』などには、

大豆の粉、

としか載らず、「きな粉」は出てこない(たべもの語源辞典)、とある。江戸時代初期の『醒睡笑』にも、大豆の粉とのるので、「きな粉」が一般化するのは、元禄(1688~1704)頃らしい。明治になって、

豆粉、

を「きなこ」と訓ませている。

「黄粉」をまぶした餅が「黄粉餅」で、「安倍川餅」といった。これは「安倍川餅」http://ppnetwork.seesaa.net/article/475927903.html?1593109508で触れた。「黄粉」の語源は、

「黄なる粉」で、黄な粉とも書く、

とされるhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8D%E3%81%AA%E7%B2%89

「黄なり」の連体形「黄なる」の「る」が落ちた「黄な」+「粉」、

である(https://ja.wiktionary.org/wiki/%E3%81%8D%E3%81%AA%E3%81%93、大言海)。

参考文献;
清水桂一『たべもの語源辞典』(東京堂出版)
大槻文彦『大言海』(冨山房)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

ラベル:きなこ 黄粉
posted by Toshi at 03:43| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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