2020年07月18日
あさつき
「あさつき」は、
浅葱、
糸葱、
と当てる(広辞苑)。
ユリ科の多年草、ネギ類で最も細い、ユーラシア大陸原産。各地に自生するが、野菜として栽培、葉とラッキョウに似た鱗茎を食用にする。春先の葉は美味、
とある(仝上)。ただ、
ヒガンバナ科ネギ属、
ともある(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%B5%E3%83%84%E3%82%AD)。
センボンワケギ、
センブギ、
イトネギ、
ヒメエゾネギ、
とも言い(仝上・広辞苑)、漢名は、
蒜葱、
とある(仝上)。「葱」(漢音ソウ、呉音ス)は、
会意兼形声。「艸+音符怱(ソウ 縦にとおる、つつぬけ)」、
とあり、「ねぎ」の意である。和名抄には、
島蒜 阿佐豆木(あさつき)、
とあり(岩波古語辞典)、和漢三才図絵には、
胡葱(あさつき) 臭気浅于(より)餘葱、故名浅葱、津者仮名之助辞也、
葱・にんにく・ノビルなどを総称して蒜(ひる)とよぶが、このヒルに対してアサとしゃれた、
という説があるが、「浅」は、「浅茅焼」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/476358947.html?1594926560)で触れたように、
深しの対、
であり(岩波古語辞典)、
アス(褪)と同根。深さが少ない、薄い、低いの意、
である(岩波古語辞典)。だから、「浅葱」の語源としては、
根深とよばれる種類の葱に対して根が浅いから(物類称呼)、
他の葱に比べて臭気が浅いから(大言海・日本語源広辞典・和訓栞)、
根にラッキョウに似た鱗茎ができるが、これが浅いところにできるから(浅玉茎の意 日本語原学=林甕臣)、
アサは痩せと通じるから、痩せたキ(葱)(日本釈名・滑稽雑談)、
浅之葱(あさつき)の義(大言海)
といった「浅い」の意味に関わる説(たべもの語源辞典)が多い、
島蒜と書いて、朝鮮語でアサツキと訓む(東雅)、
という説もあるが、「ねぎ」は、古名、
き、
と呼んだ。
アサ(浅)+ツ+キ(葱)で、ツは連体修飾を表す助詞と考えるのが妥当(日本語源大辞典)、
なのではないか。
「浅葱」は、
あさぎ、
とも訓ます。
緑かかった薄い藍色、
薄青、
である。「あさつき」と呼んだのは、
浅葱色(あさぎいろ)のように、葱の色が葉の緑よりも色が浅いから、浅つ葱(き)、
という意味もある(たべもの語源辞典)、としている。
また、「浅葱」は、
麦葱、
と当てて、
あさつき、
と訓ませる(仝上)。また、「浅葱」は、
千本分葱(せんぼんわけぎ)、
と当て、「千本」を、
ちもと、
と訓み、
せんぶぎ、
ともいう(仝上)。ただ、「分葱」(わけぎ)は、タマネギに似た球根性多年草であり、
ワケネギ(分け葱)、
とは別で、
ネギとタマネギの雑種または独立種として分類される、
とある(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AF%E3%82%B1%E3%82%AE)。
参考文献;
清水桂一『たべもの語源辞典』(東京堂出版)
大槻文彦『大言海』(冨山房)
前田富祺編『日本語源大辞典』(小学館)
ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95
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