2020年07月23日

糠喜び


「糠(ぬか)喜び」は、

当てが外れて、喜びが無駄になる、
また、
そのような束の間の喜び、

の意味である(広辞苑)。

小糠(こぬか)祝い、

という皮肉な言い回しもする。

糠+喜び、

で、

喜びの抜け殻、

からきているという解釈がある(日本語源広辞典)。これは、米を精製する時に出来る「糠」が、

その形から細かい、とかちっぽけなといった意味で用いられるようになり、さらに「はかないもの」という意味になり、さらに、一瞬の短い間の喜びをそのように表現するようになった(由来・語源辞典)、

その形状から,近世頃より「細かい」「ちっぽけな」といった意味で用いられるようになり,「糠雨(ぬかあめ)」や「糠星(ぬかぼし)」という言葉にも使われている。さらに、「糠」が「小さい」の意味から派生し,「はかない」「頼りない」などの意味を持つようになり,はかない喜びをいうようになった(語源由来辞典)

という解釈と同じである。

これは、「糠」http://ppnetwork.seesaa.net/article/460643894.htmlで触れたように、和名抄に、

糠 米皮也、

とあるように、玄米が皮を 覆った米とするならば、精米は皮が脱がされたもので、糠は脱がされた皮にあたり、

「脱皮(ぬけがは)の略と云ふ」(箋注和名抄・名言通・和訓栞・言葉の根しらべの=鈴木潔子。国語の語根とその分類=大島正健・大言海)、
ヌギカハの略(本朝辞源=宇田甘冥)
米のヌケガラの義(和句解・日本釈名),

と概ね「ヌケカワ」説であり、

ヌ(脱ぐ)+カ(皮),

としていることによる、と思われる。

大言海は、「糠喜び」の項で、

糠に釘、利目(ききめ)なき意か、

とまったく別の解釈をしている。

「糠に釘」は、

糠に釘を打つ、

とも言い、

手応えなく効き目のないことのたとえ、
意見しても効果のないことなどにいう、

とある(広辞苑)。その意味では、手応えのない、

空振り、

という意味では、

糠に釘、

糠喜び、

も、同義だといえばいえる。大言海に、「糠喜び」の意味は、

悦ばしき事の来たらむと。喜びたる甲斐もなく、事の予想に反したること、

とある。しかし、

手応えのない、

空振り、

と、

ホームラン(ではないまでも、ヒット)、

と感じた、

糠喜び、

とでは、結果はともかく、手応えにおいて、少し意味の範囲はずれるのではあるまいか。だから、

小糠祝い、

という言い回しが生きてくる。「小糠」は、

粉糠、

とも当てる。

米を搗くとき表皮の細かく砕けて生ずる粉末、

つまり、

糠、

と同じである。僕には、その儚さは、

精米するときの飛び散るイメージ、

に思える。

参考文献;
前田富祺編『日本語源大辞典』(小学館)
大槻文彦『大言海』(冨山房)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

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