ナタマメ


福神漬http://ppnetwork.seesaa.net/article/476510300.html?1595704097の材料になることで知られる、

「ナタマメ」は、

鉈豆、

と当てる。

刀豆(トウズ、タチマメ、ナタマメ)、
帯刀(タテハキ)、

とも呼ばれるhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%82%BF%E3%83%9E%E3%83%A1。日本には江戸時代初頭に清から伝わった。約25cmほどの豆果を結ぶ。以前から漢方薬として知られている、とある(仝上)。また「ジャックと豆の木」のモデルともいわれる。

マメ科1年草としては最大級の植物で、丈は5メートル以上、サヤも40~60センチまで大きく太く成長します。サヤの中の種子も3センチ程の楕円形の大きさになります。大きなマメとしてなじみのあるソラマメが約2センチですから、それよりもひとまわり大きな豆です、

とあるhttp://www.yoshitome.co.jp/natamame/。その大きさは、

熱帯アジア原産、

といわれる(広辞苑)と納得できる。九州地方、とくに鹿児島に栽培が定着した、とある(仝上)。

福神漬には、

ナタマメの未熟な莢を薄くむ小口きりにしたものが入っている、

という(たべもの語源辞典)

ナタマメ.jpg


「農業全書」(1696年)の中で「刀豆」として記載されている(仝上)。

サヤの形が、刀や刃物のなたに似ている、

から「刀豆」と表記され「なたまめ」と呼ばれるようになった、とある(仝上)が、

切ったものも剣に似ているが、サヤ全体の形が刀に似ているから刀豆と書き、また、幅広く厚みがあり鉈に似ているからナタマメといった、

というところだろう(たべもの語源辞典)。別名の「タテワキ(帯刀)」も、

莢の形、

に由来する。「帯刀」(たてわき)は、

たちはき(帯刀)、

といい、

太刀佩(は)きの義、

とある(大言海)ように、

刀を帯びる、

意であり、音便で、

タテアキ、
タテハキ、

とも。

古代、春宮(とうぐう)坊の舎人監(とねりのつかさ)の役人で、皇太子の護衛に当たった武官、舎人の中で武術に優れたものを任じ、特に帯刀させた、

ので、

帯刀舎人、

ともいい、要は、

禁中の滝口、院の北面の如し、

と(大言海)、「侍」と関わることから、とみられる。「ナタマメ」の形から、

延べうちで、平たく短く、鉈豆の莢に似せた形のキセル、

つまり、

鉈豆煙管、

の意でもある。

ナタマメの花は、まず本のほうから末に向かって咲いて、つぎに、ふたたび末から本へ咲き下がって来る、

ので(たべもの語源辞典)、

もとに還る、

という意味で、

旅行・出立の祝いの膳にナタマメを付けるところがあった(仝上)、という。また、

ナタマメ二個をお守りとして持っていれば無事に戻ることが出来る、

というので四国巡礼の人々がこれを持ち歩いた、ともある(仝上)。「ナタマメ」は、

ぐんぐんと勢いよく生長することから、鹿児島では縁起の良い豆、商売繁盛のお守りとして親しまれてきました。また、地方によっては、花が絶え間なく咲くことから子孫繁栄の縁起物として扱われることもある、

らしいhttp://www.yoshitome.co.jp/natamame/

刀豆.jpg

(農業全書((1804))の刀豆 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%82%BF%E3%83%9E%E3%83%A1より)

「なたまめ」の薬効としては、

血行促進や免疫力の向上などのさまざまな効果があるほか、昔から排膿(膿を出す)の妙薬と言われており、腎臓に良く、蓄膿症、歯周病や歯槽膿漏の改善、痔ろうなどにも効果がある。他の野菜の病害虫の防止用として周囲に植えられることもある、

とありhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%82%BF%E3%83%9E%E3%83%A1

白ナタマメは、ナンテンの葉と同じように解毒に効き、のどがはれてつまったとき、ナタマメを粉末にして服用すると治る、

ともある(たべもの語源辞典)。江戸語大辞典には、

鉈豆枳殻(からたち)の気遣い、

という言葉が載り、

癲癇もちにたべさせると発作を起こす、

として、鉈豆をたべさせて、病歴の有無を調べた、ともある。本草網目には、なた豆の効用として、

腎を益し、元を補う、

とあり、

「腎」の機能を高めて、病気に負けない免疫力をもたらす生薬、

とされているらしいhttp://www.wakasanohimitsu.jp/seibun/sword-bean/が、この記述の真偽は確かめられなかった。

参考文献;
清水桂一『たべもの語源辞典』(東京堂出版)
前田勇編『江戸語大辞典 新装版』(講談社)
大槻文彦『大言海』(冨山房)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

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