2020年08月02日

いとこ煮


「いとこ煮」は、

従兄弟煮、
従弟煮、

と当てたりする(広辞苑・たべもの語源辞典)。

いとこ煮.jpg


小豆・牛蒡・大根・芋・豆腐・慈姑(くわい)・焼栗などを堅いものから追い追い入れて煮込んだ料理、

とあり(広辞苑)、秋田県鹿角地方では、

大根をさいの目にして小豆とともに煮た味噌汁、

を言い、新潟県には、

大根・人参・芋に小豆などを混ぜて煮る、

ものがある(たべもの語源辞典)。要は、

小豆または豆と野菜の寄せ煮料理、

であり(仝上)、

各地に伝わる郷土料理の一つ、

で、

山形県庄内地方のもの、北陸地方(新潟県・富山県・石川県)のもの、奈良県のもの、および山口県萩市周辺に伝わるものが知られている、

とありhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%84%E3%81%A8%E3%81%93%E7%85%AE

この起源は古く、

寛永二〇年(1643)版『料理物語』のなかに、「あずき、ごぼう、いも、だいこん、豆腐、焼栗、くわいなどを入れ、中みそにてよし、かようにおいおいに入れ申すによりいとこ煮か」

と解説している(日本大百科全書)、とある。

「いとこ煮」の語源は、『料理物語』にある、

おいおいに入れ申すによりいとこ煮、

と、

「追い追い」と「甥甥」を掛けた、

とするのが大勢(広辞苑・語源由来辞典等々)であるが、もともとは、

正月・事八日・盆・祭礼・収穫祭などに食べた。これは神に供えたたべものを集めて煮ることに始まったもので、雑煮と同じ風習による、

とされる(たべもの語源辞典)ので、

年中行事の際つくられるお事煮がなまっていとこ煮となった、

とする説(日本大百科全書)もある。その他、

いとこ煮(萩風)は、小豆を柔らかく煮る、白玉だんごを作ってゆでる、だし汁に干ししいたけを入れて煮るというように、最終的にお椀で一緒になるはずの材料を別々に煮ている。この別々に煮ることを“銘々(めいめい)に煮る”という。姪と姪(兄弟の子ども同士)が一緒にお椀に入って一つの料理を作り上げている。お椀の中の具は、姪同士なのでつまり、お互いは従兄弟(いとこ)の関係。よって、いとこ煮という、

いとこ煮は、婚礼や法事といった冠婚葬祭の席で必ず出される。冠婚葬祭で兄弟姉妹や従兄弟たちが集まったときに食べる料理だったことから、「いとこ煮」と呼ばれるようになった、

野菜ばかりを煮るので、近親関係なので、いとこ煮、

等々もあるhttp://www.ysn21.jp/~eipos/data/2006/WB18_001/kyoudoryouri/itokoni/newpage1-4-10-2.htmlが、

お事煮→いとこ煮、

の転訛が一番自然に思える。

一般的に知られているのは、かぼちゃと小豆を甘く炊いた奈良県のスタイル、

のようだが、

だったらあずき煮でいいじゃないか、

となるhttps://macaro-ni.jp/33187のは当然で、「あずき粥」http://ppnetwork.seesaa.net/article/473475996.htmlで触れたように、中国由来で、

「小豆が持つ赤色と稲作民族における呪術が結び付けられて、古くから祭祀の場において小豆が用いられてきた。日本の南北朝時代に書かれた『拾芥抄』には中国の伝説として、蚕の精が正月の半ばに糜(粥)を作って自分を祀れば100倍の蚕が得られるという託宣を残したことに由来するという話が載せられている。
中国においては、古くは冬至の際に小豆粥が食せられた。後にこの風習が発達して12月8日には米と小豆ほか複数の穀物や木の実を入れた「臘八粥」(ろうはちがゆ)というものが食せられ、六朝時代の中国南部では1月15日に豆粥が食せられた(『荊楚歳時記』)。これが日本に伝わって1月15日すなわち小正月の朝に小豆粥を食するようになったと考えられている」

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E8%B1%86%E7%B2%A5、「小豆」は特別なものであった。

2月8日の「事納」に目籠を掲げている。鮮斎永濯(1884)『温古年中行事』.jpg

(2月8日の「事納」に目籠を掲げている。鮮斎永濯(1884)『温古年中行事』 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%8B%E5%85%AB%E6%97%A5より)

「事八日(ことようか)」というのは、集め汁http://ppnetwork.seesaa.net/article/476575401.htmlで触れたように、

東日本で、旧暦二月八日(お事始め)と十二月八日(お事納め)を併せて言う、

とある(広辞苑)が、2月8日と12月8日のどちらかを「事始め」、他方を「事納め」と呼ぶ場合、

「事」を年間の祭事あるいは農作業と解釈し、2月を事始め・12月を事納めとするのが主流だが、関東の一部では「事」を新年の祝い事と解釈し、12月が事始め・2月が事納めとなる、

ともあるhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%8B%E5%85%AB%E6%97%A5

八日節供、八日待(まち)、八日ぞう、事始め/事納め、お事始め/お事納め、八日吹き、八日行、節供始め/節供納め、お薬師様、恵比寿講、

等々とも呼ばれる(仝上)。この時食べるのものに、

お事汁(おことじる)、

というものがあるhttps://esdiscovery.jp/sky/info01/food_menu002.html。別名、

六質汁(むしつじる)、

とも呼び、

芋・大根・人参・ゴボウ・小豆・コンニャク、

の6種類の具材を入れていたことから、そう呼ばれた。やはり、無病息災を祈願する味噌汁である(仝上)。どうも、この、

お事汁、

は、

いとこ煮、

と深くつながるような気がしてならない。もともとあった祖型が、

お事汁、

いとこ煮、

に分離したのかもしれないが。

参考文献;
清水桂一『たべもの語源辞典』(東京堂出版)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

ラベル:お事汁 いとこ煮
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posted by Toshi at 03:59| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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