掉尾


「掉尾」は、

チョウビ、

と訓ますが、慣用的に、

トウビ、

とも訓む。

掉尾を飾る、

とか、

頭尾の勇を奮う、

等々といった使い方をする。

掉尾、

は、

尾を振る、

意である。「掉」(慣用トウ、漢音チョウ、呉音ジョウ)は、

会意兼形声。卓(タク)は「人+早」からなる会意文字で、人が高く抜き出て目立つこと。擢(テキ 高く抜け出る)と同系のことば。掉は「手+音符卓」で、高く抜き出して、宙づりにすること、

とある(漢字源)。「ふる」「高く持ち上げて宙づりにする」といった意味になる。

掉尾、

は、

尾大不掉尾(左伝)、

揵鰭掉尾、振鱗奮翼、潜處乎深巌(司馬相如・上林賦)、

悠然掉尾波閒去、須信人世不及魚(孔武仲詩)、

等々といった例にあるように、

尾を振る、

意であるが、

一説に、捕らえられた魚が死に際に最後の力をふり絞って尾を振ること、

の意とされ(故事ことわざの辞典)、

最後の活動などの、勢よきことに云ふ、

とあり(大言海・字源)、

物事や文章の終わりに至って勢いの奮い立つこと、

転じて、

最後、

の意(広辞苑)となり、

文章の結尾の力あるにもいふ、

ともある(字源)。だから、

掉尾の勇を奮う、

は、

最後の勇気を奮い起して頑張る、
最後の努力をする、

という意になる(故事ことわざの辞典)。

掉尾を飾る、

は、

物事の最後を立派にしめくくる、

意になる。

最後、

という意では、

けり(をつける)、
仕舞い、
挙句(のはて)、

等々あるが、「掉尾」の、最後のひと踏ん張りの含意はない。

参考文献;
尚学図書編『故事ことわざの辞典』(小学館)
藤堂明保他編『漢字源』(学習研究社)
簡野道明『字源』(角川書店)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

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