2020年09月15日

おみなえし


「おみなえし(をみなへし)」は、

女郎花、

と当て、

をみなめし、
をむなへし、
おみなべし、
おみなし、
ちめぐさ、
じょろうばな、

等々とも呼ばれ(広辞苑他)、中世以降は「をみなめし」の形が使われた(岩波古語辞典)らしい。別名、

敗醤(はいしょう)
粟花(あわばな)、
蒸粟(むしあわ)、

ともいうhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%9F%E3%83%8A%E3%82%A8%E3%82%B7。「敗醤(はいしょう)」というのは、

此花、水中に挿すこと二三日すれば、液出て、異臭あり、醤の腐れるが如し、故に漢名に敗醤の名あり、

とある(大言海)。ただ、中国名の敗醤は、

オトコエシ、

のことであり(日本大百科全書・精選版日本国語大辞典)、漢名は、

黄花龍芽(精選版日本国語大辞典)、
黄花竜牙https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%9F%E3%83%8A%E3%82%A8%E3%82%B7

とある。

「おみなえし」は、秋の七草、

萩、
尾花、
葛、
撫子(なでしこ)、
女郎花、
藤袴(ふじばかま)、
桔梗(ききょう)、

の一つとされ、

スイカズラ科オミナエシ属、

とされるhttps://matsue-hana.com/hana/ominaesi.htmlが、

オミナエシ科オミナエシ属、

ともされるhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%9F%E3%83%8A%E3%82%A8%E3%82%B7多年草の植物だが、古名、

おほつち、
おほとち、

和名抄に、

女郎花、乎美那閉之、

とある。

女郎花.jpg


「おみなえし」は、また、

襲(かさね)の色目の名、

てもあり、

表が黄、または、経(たていと)が青で緯(よこいと)が黄、裏は青。秋に着用する、

秋の襲、

でもあり(精選版日本国語大辞典)、七八月頃に着用する(大言海)。

襲の色眼 女郎花(おみなえし).gif


女郎花の少し青みがかった黄の花の色から取ったもの、

であるhttp://www.mode-japonesque.com/irodori/kasane_aki/ominaesi.htm

「おみなえし(をみなへし)」の語源は、大言海が「いかがか」と疑問を呈した、

ヲミナは美女の意。ヘシは脇へ押しやる、力を失わす意、この花の美しさが美女をも顔色をなくさせる意か、

とする説(岩波古語辞典・古今要覧稿)がある。鎌倉時代の僧宗碵(そうてい)の『藻塩草(もしおぐさ)』には、

平城(へいぜい)天皇(806~809)の時代、自分の愛した男が別の女と結婚すると聞いて、世をはかなんで川に身を投げたという女が脱ぎ置いた山吹重ねの衣から、女郎花が咲き出た、

との伝説をある由(日本大百科全書)なので、由来に故なしとはしないが、他に、

「女+なる+べし」の「なる」の省略、「おみなべし」が元の形、

と見る説(日本語源広辞典・語源辞典・植物篇=吉田金彦)があるが、「おみなべし」「おみなめし」は中世以降に登場するので、いかがであろうか。また、

ヲミナベシは、女房詞で「粟飯」を指す、粟飯のような花、

とする説(日本語源広辞典)もある。是非は判断できないが、

粟花(あわばな)、
蒸粟(むしあわ)、

という別名があり、「粟」でなく「粟飯」とする理由がわからない。「おみなえし」は、

粟、
または、
粟餠、

をいう女房詞とある(精選版日本国語大辞典)ので、逆に「粟花」という名があったから、そう呼ばれたのかもしれない。ここは、「女郎花」の語源とは別の話になる。

おとこえし.jpg

(おとこえし(男郎花) デジタル大辞泉より)

なお、「女郎花」の対とされるのが、同属で姿がよく似ている白花の、

オトコエシ(男郎花)、

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%9F%E3%83%8A%E3%82%A8%E3%82%B7、全体にやさしい感じがするところから名付けられたとされる。和名は、

オミナエシに対立させる形で、より強豪であることを男性にたとえたものである。最後のエシは元来はヘシであり、またヘシはメシに変化する例もあり、そのため本種の別名としてオトコメシもある、

とあるhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%88%E3%82%B3%E3%82%A8%E3%82%B7

「なでしこ」http://ppnetwork.seesaa.net/article/464868151.htmlについては、触れた。

参考文献;
前田富祺編『日本語源大辞典』 (小学館)
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
大槻文彦『大言海』(冨山房)
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

ラベル:おみなえし
【関連する記事】
posted by Toshi at 04:23| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください