「アチャラ漬」は、
阿茶羅漬、
とも当て、
アジャラづけ、
とも言う。
蓮根・大根・筍・蕪などを細かく刻んで、唐辛子を加えた酢・酒・醤油・砂糖などに漬けた食品、
である(広辞苑)。
「アチャラ漬」の「アチャラ」は、
ペルシャ語の漬物の意のアチャルから(たべもの語源辞典)、
インドネシア料理の、アチャルという野菜を甘酢漬けにして赤唐辛子を入れたものから(仝上)、
野菜・果物の漬物の意のポルトガル語achar(アチャール)から(デジタル大辞泉・日本大百科全書・語源由来辞典)、
もともとはピクルスをまねてつくったもののようで、「あちゃら」とは外国の意味(日本大百科全書)、
アチャラは、ペルシャ語のāchārに由来するポルトガル語(広辞苑)、
ペルシヤ語achara由来だが、ポルトガル人が伝えた(大辞林)、
フィリピンやインドネシアでは漬物をアチャラと呼んでいるが、これはペルシア語で漬物をさすアーチャールを語源としており、日本のアチャラも同源(世界大百科事典)、
と諸説あり、ペルシャないしポルトガルが関与しているらしいという以上に、どれとも定めることは難しいが、
近世初頭に、南蛮貿易を通して日本に入ったといわれる。「あちゃら漬」の「あちゃら」に似た音で「漬物」を表している言葉が、インドの「アチャール」、フィリピン・インドネシアの「アチャラ」、ネパールの「チャーレ」、アフガニスタンの「オチョール」など各地に見え、これらは同源と考えられる、
とある(語源由来辞典)ので、少なくとも、ポルトガル人の進出に合わせて伝搬したということは確かなようだ。ただ、南蛮由来とされる料理、
オランダ煮、
南蛮漬け、
も唐辛子を使うことが特徴なので(https://oisiiryouri.com/acharazuke-gogen-imi-yurai/)、「アチャラ漬」もそうした伝来のひとつとみられる。
南蛮料理の一種、
とされ、
もともとはピクルスをまねてつくった、
とされる(日本大百科全書)ので、
和風のピクルス、
といったところか(百科事典マイペディア)。
(アチャラ漬 https://www.kubara.jp/recipe/2036/より)
元禄二年(1689)刊の「合類日用料理指南抄」には、
南蛮漬、
と載り、はじめは、南蛮漬と呼ばれ、のちにアチャラ漬というようになったと思われる(世界大百科事典)。
「料理網目調味抄」(1730)には、
阿茶蘭漬、
「料理山海郷」(1749)にも、
阿茶羅漬、
としてのつくり方が紹介されている。前者では、酢に塩を加えて煮返したものにナス、ショウガ、ミョウガ、れんこん、ゴボウ、イワシ、貝類などをつけるとあり、後者では酢、塩に酒を加えて2度沸騰させて冷ましたものに魚のつくり身をつけるとしてある(仝上)。
「南蛮」というのは、
南方の夷(えびす)、
の意であり、
室町時代末期以後に、フィリピン・シャム・ポルトガル・スペイン、
等々のことを言った。だからこの地方から渡ってきたものに、
南蛮、
とつけた。唐辛子も、
南蛮からし、
南蛮胡椒、
といった、とある(たべもの語源辞典)。
今日、「南蛮漬」と呼ばれているのは、
魚肉に片栗粉をまぶして揚げたものを、トウガラシにネギやタマネギを加えた合わせ酢に漬けたもの、
を指し、アジ、ワカサギ等小魚をおもに使う、とある(百科事典マイペディア)。
油でいためたり、ネギやトウガラシを用いた料理は、
南蛮、
とつけられることが多く、これもその一つとされる(仝上)「合類日用料理抄」(1689)には、
揚げてから漬ける新しい料理法であるからとも、ネギやトウガラシを用いるところからつけられた名、
とある(精選版日本国語大辞典)。
参考文献;
清水桂一『たべもの語源辞典』(東京堂出版)
ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95
ラベル:アチャラ漬