2020年10月19日
キクラゲ
「キクラゲ」は、
木耳、
とあてるが、「木耳(モクジ)」は、漢語である。
木に生ずる耳、
の意で、
木耳生于朽木之上、無枝葉(本草)、
とある(字源)。
春から秋にかけて、広葉樹のニワトコ、ケヤキなどの倒木や枯枝に発生する。主に日本、中国、台湾、韓国などの東アジアやミャンマーなどで食用とされている、
とある(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%B2)。特に中国料理では常用される。
学名(Auricularia auricula-judae)の内、「Auricularia」が、ラテン語で「小さい耳、耳たぶ」という意味の「auricula」という言葉に由来し、「auricula-judae」はラテン語で、「ユダの耳、ユダヤ人の耳」の意味になる。「ユダの耳」は、
ユダが首を吊ったニワトコの木からこのキノコが生えたという伝承に基づく。英語でも同様に「ユダヤ人の耳」を意味するJew's earという。この伝承もあってヨーロッパではあまり食用にしていない、
らしい(仝上・https://www.gaspo-kinokoya.com/blog/blog_detail/index/37.html・たべもの語源辞典)。中国では、
賓客をもてなすのにシロキクラゲの料理を出した。シロキクラゲは黄金と比較されるくらい高価であった、
とある(たべもの語源辞典)。シロキクラゲ(白木耳)、学名(Tremella fuciformis)は、
春から秋にかけて、広葉樹倒木や枯枝に発生する。形は不規則で、花びら状と表される。子実体はゼリー質で白く、半透明。キクラゲ同様、乾燥すると小さく縮み、湿ると元に戻る、
とある(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%AD%E3%82%AD%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%B2)。中国では「銀耳」と呼ばれて栽培され、シロキクラゲを利用した料理として中華料理の銀耳羹(シロキクラゲのスープ)などがある(仝上)。
「キクラゲ」は、また、
木海月、
とも当てるが、「クラゲ」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/477221780.html)で触れたように、「クラゲ」は、
水母、
海月、
水月、
等々と当てる。「水母(すいぼ)」「海月(かいげつ)」「水月(すいげつ)」は、いずれも、漢語である。「耳」という漢字にクラゲの意味は無いので、「キクラゲ」の音に当て字したものと思われる。
干したクラゲに似ているところからこの名がある、
とある(たべもの語源辞典)。「木耳」を、「キクラゲ」と訓ませるのは、
味は淡いが、噛むと音がして、干したクラゲ(水母)のような食感がある、
からである(仝上)。
「キクラゲ」は、古名、
キノミミ、
とある(大言海)。ために、一名、
ミミタケ、
とも言う。
形が人の耳に似ているから、
である(仝上)。室町末期の日葡辞書には、
耳茸(みみたけ)、
が載る(語源由来辞典)。
「キクラゲ」の地方名には、
沖縄本島のミミグイ、
鹿児島県沖永良部島のミングソ、
奄美大島のミングリ、
宮崎県西臼杵郡のミミナバ、
等々がある(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%B2)が、いずれも自生するアラゲキクラゲを耳と関連づけている。
アラゲキクラゲ(荒毛木耳、Auricularia polytricha)は、「多毛」の意味で、漢語では、「毛木耳」である。
参考文献;
清水桂一『たべもの語源辞典』(東京堂出版)
ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95
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