骨柄
「骨柄」は、
人品骨柄、
などと使う。
人柄や品性など、その人から受ける印象のこと、
人相や風体から判断できる性格や風格などをいう、
とある(学研四字熟語辞典)。「人品」は、
品性や気品のこと、
あるいは、
風采、様子、
「骨柄」は、
体格や人相から想像する人柄のこと、
の意味、とされる(仝上)。
「骨柄」は、
コトガラ、
と訛り、
事柄、
とも当て、
骨組み、体つき、
の意と、
それから感じられる人柄、
の意とされる(広辞苑)。大言海は、「がら(柄)」の項で、
體(カラ)、即ち、體(テイ)、様子の義、大がら、人がらなど、連聲に因りて濁る、
とし、
身体(大がら)、
物事の容子を云ふ語。しな、くらい、品位、品種(人がら、家がら、身がら、品がら、手がら、事がら、日がら)、
其様子に連れて、相応したるを云ふ語(所がら、世がら、時節がら)、
布帛、織模様、染模様などに、品質、大小、醜美を云ふ語(端物の地がら、縞がら、染がら、大がら、中がら、小がら、新かぎら、珍がら)、
と使い方を示す。
骨柄(こつがら)→事柄(ことがら)、
と転訛としたためか、大言海は、「事柄」を、本来の、
ことのおもむき、
事の様子、
の意の「事柄」と、
骨柄の轉、
として、
骨柄、
体格、
を載せる。たとえば、平治物語では、
源氏勢沙汰、容儀、事柄、人に優れてぞ見えられける、
と、また太平記では、
篠塚勇力事、其勢、事柄、勇鋭たるのみならず、兼ねて聞こえし大力なれば、
と使われている。しかし、
「平家物語」の古写本で「ことがら」とあるものが後に「こつがら」と改められていることなどから、「ことがら」が本来の形で、それが語形変化したのが「こつがら」とする説がある、
とある(日本語源大辞典)。とすると、「ことがら」が、
「ひとがら」と同じく、「こと」の様子を意味した言葉であったが、「気骨」などの「骨」への語源俗解から語形が変化した、
とみられる、とある(仝上)。だから、
ことがら→こつがら→ことがら、
と再転訛したのか、あるいは、
こつがら→ことがら、
とは別に、古い「ことがら」が残り、そのまま「骨柄」の意で使われたかのいずれかということになる。
「こと」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/462119208.html)で触れたように、「ことがら(事柄)」の「こと(事)」は、
「こと(言)」は同源である。
古代社会では口に出したコト(言)は,そのままコト(事実・事柄)を意味したし,コト(出来事・行為)は,そのままコト(言)として表現されると信じられていた。それで,言と事とは未分化で,両方ともコトという一つの単語で把握された。従って奈良・平安時代のコトの中にも,事の意か言の意か,よく区別できないものがある。しかし,言と事とが観念の中で次第に分離される奈良時代以後に至ると,コト(言)はコトバ・コトノハといわれることが多くなり,コト(事)と別になった。コト(事)は,人と人,人と物とのかかわり合いによって,時間的に展開・進行する出来事・事件などをいう。時間的に不変な存在をモノという。後世モノとコトは,形式的に使われるようになって混同する場合も生じてきた、
とある(岩波古語辞典)。モノは空間的,コト(言)は時間的であり,コト(事)はモノに時間が加わる,という感じであろうか。
人がら、
の意の「骨柄」を、
ことがら、
とみなすことは、「がら」の、大言海の挙げる、
人がら、家がら、身がら、品がら、手がら、事がら、日がら、
と使われる、
物事の容子を云ふ語。しな、くらい、品位、品種、
の意味からは、十分あり得るとは思う。
なお、「もの」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/462101901.html)は触れた。
参考文献;
大槻文彦『大言海』(冨山房)
前田富祺編『日本語源大辞典』(小学館)
ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95
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