「なびく」は、
靡く、
と当てる。
(根元が押さえられていて)先の方がゆらゆらと横に揺れ動く、
のを言い、それをメタファに、
さ寝(ぬ)がには誰とも寝(ね)めど沖つ藻の靡きし君が言待つ我を(万葉集)、
というように、
(心や態度が、ある人の方へ)揺れ動いて寄る、
意であり、さらに、
上は下に助けられ、下は上になびきて(源氏)、
というように、
他人の威力・意志などに従う、
服従する、
意でも使う(広辞苑・岩波古語辞典)。
「靡」(漢音ビ、呉音ミ)は、
形声。「麻(しなやかな麻)+音符非」
とある(漢字源)が、別に、
形声。「非」+「麻」。「非」は、分離すること。「麻」は、水に浸した麻のこと、
ともある(https://ja.wiktionary.org/wiki/%E9%9D%A1)が、
燕従風而靡、
と、
外から加わる力に従う、
意から考えると、「麻」を水に浸したイメージが浮かぶ。
「なびく」の語源は、
ナビク(並)は、下二段動詞ナブ(並)と同源。ナブは、同じ方向に揃うという意味的共通性からみて、ナブ(並)・ナム(並)と同源と考えられる、
とする(日本語源大辞典)、
並ぶ意のナム(列)、ナラブと同系か(語源大辞典=堀井令以知)、
ナミク(並木)の義(名言通)、
ナミフス(並偃)の義(言元梯)、
という「並」とみなす説と、
ナビは擬態語。元がささえられながら、先がしなやかに揺れ動く意。擬態語を語根とし、接尾語クをつけて、動詞を作る、さわぐ(騒)・かがやく(輝)・とどろく(轟)などの類(岩波古語辞典)、
と、擬態語とする説に大別される。
他に、
偃(な)え延(ひ)くの意(大言海)、
ナ(和)+引く、物の力に引き寄せられる(日本語源広辞典)、
もあるが、上記二説が有力である。
なぶ(並)、
は、列をなす意である(大言海)が、
なむ(並)、
も、
横に凹凸なく並ぶ意。縦に一列並ぶのはツレ(連)という、
とある(岩波古語辞典)。で、
ならぶ(並)、
は、
二つのものがそろって位置している意が原義、類義語ナム(並)は三つ以上が凹凸なく横に並ぶ意、
である(岩波古語辞典)。つまり、
なぶ(並)、
も
なむ(並)、
も、
ならぶ(並)、
も、並んだ状態を示す言葉の可能性が高い。となれば、
なぶ(靡)、
もその意味の外延にあるかもしれないが、「さわぐ」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/465482949.html)が、
奈良時代にはサワクと清音。サワは擬態語。クはそれを動詞化する接尾語
とある(岩波古語辞典)。「サワ」は、
さわさわ、
という擬態語であり、「とどろく」が
ドロドロという音ないし声から(国語溯原=大矢徹・時代別国語大辞典-上代編)、
ドドは擬音語(岩波古語辞典)、
と、また擬音語であり、「かがやく」(http://ppnetwork.seesaa.net/article/473231684.html)も、
カガは、赫(かが)、ヤクは、メクに似て、発動する意。あざやく(鮮)、すみやく(速)(大言海)、
カガ・カガヤ(眩しい・ギラギラ)+く(動詞化)(日本語源広辞典)、
カクエキ(赫奕)の転(秉穂録)、
カガサヤクの約言(万葉考)、
と、「赫」とつなげる説が多く、擬態語と見ることができる。「なふ」「なむ」も並んだ状態の擬態語と考えれば、二説は、
並んだ状態、
と
靡いた状態、
と、重なるのかもしれない。
(風になびく https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A2%A8よる)
参考文献;
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)
前田富祺編『日本語源大辞典』(小学館)
ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95