「糝粉(しんこ)」は、
精白した粳米(うるちまい)を乾燥して挽いた粉、
の意である(たべもの語源辞典)。江戸後期の『瓦礫雜考』に、
他物の混ざらない米の粉の意で、シンコ(真粉)の義か、
とある。「糝」(シン、サン)は、
こながき。米の粉をかきまぜて煮たてたあつもの、
の意だが、
米粒、
意でもあり(字源)、「糝粉」は漢語で、
粳米(うるち米)の粉、
の意である(仝上)。中国由来と考えていい。今日、
新粉、
と書き,
米粉(こめこ)、
と呼ぶこともある。普通品を、
並新粉,
きめの細かい上質品を、
上新粉,
上用粉、
と呼ぶことも多い(世界大百科事典)とあるが、細かく、目の粗いものを、
新粉(糝粉、しんこ)・並新粉(並糝粉、なみしんこ)、
細かいものを上新粉(上糝粉)、
更に細かいものを上用粉(じょうようこ)、
という(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8A%E6%96%B0%E7%B2%89)とあり、その用途は、
新粉 団子・すあま等、
上新粉 団子・柏餅・ういろう等、
上用粉 薯蕷饅頭等に配合。薯蕷粉(じょうよこ)とも言う、
とある(仝上)。大言海が「しんこ」に、
新粉、
と当て、
粳米の粉を水に捏ねて蒸して、餅の如くしたるもの、
とは、
糝粉餅、
を略して言うのを指す。俚言集覧には、
真餻、
と当てて、
米を粉にしてねりて蒸して叉搗きたる餅をいふ、
とある(たべもの語源辞典)。
糝粉も違う流行したため、それを「糝粉」と略して呼び、その方が粉より多く用いられるようになった、
とある(仝上)。
(糝粉細工 精選版日本国語大辞典より)
江戸時代、文化(1804~18)頃に糝粉に色をつけたりして鳥獣草木の形に作って四角な薄い杉板の上に載せた糝粉細工がはやって子供の玩具になった、
とある(仝上)。はじまりは、『毛吹草』(1638)に見える、
しんこ馬、
という、新粉餅で馬の形をつくったものと思われる(世界大百科事典)が、これが江戸中期ころから子ども相手の屋台店などで行われ,昭和まではよく見かけた。僕の子供の頃の昭和廿年代までは、まだ縁日にこんな細工を、実演していた記憶があるが,いまはほとんど見られない。
はさみ,竹串(たけぐし),へらなどを用いて細工したものに色をつけ,蜜(みつ)をかけて食べるようにする、
らしいが,幕末期の『守貞漫稿』に、すでに食べる子はまれだとされている(仝上)。
参考文献;
前田富祺編『日本語源大辞典』(小学館)
大槻文彦『大言海』(冨山房)
清水桂一『たべもの語源辞典』(東京堂出版)
ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95