「南禅寺揚(なんぜんじあげ)」というものがある。
豆腐を砕いて、少量の小麦粉に卵黄・酒・塩・煮出汁などを加えた衣をつくって、魚とか魚菜を揚げたもの、
とある(たべもの語源辞典)。
京都の蹴上(けあげ)にある「南禅寺」付近で良質の豆腐が作られたことから、豆腐を使った料理名によくつけられ、南禅寺揚げ、南禅寺蒸等々、「南禅寺~」ということがある(世界の料理がわかる辞典)。
(イサキの南禅寺揚げ https://abukamo.exblog.jp/8358231/より)
「南禅寺揚」は、
水切りをしてくずした豆腐を衣にした揚げ物、
だから、「南禅寺」の名が付いた。
南禅寺(なんぜんじ)は、
京都市左京区にある臨済宗南禅寺派大本山の寺院。山号は瑞龍山、寺号は詳しくは太平興国南禅禅寺(たいへいこうこくなんぜんぜんじ)と称する。開山は無関普門(大明国師)。開基は亀山法皇。日本最初の勅願禅寺であり、京都五山および鎌倉五山の上におかれる別格扱いの寺院で、日本の全ての禅寺のなかで最も高い格式をもつ、
とあり(https://www.wikiwand.com/ja/%E5%8D%97%E7%A6%85%E5%AF%BA)、「湯豆腐」は、
南禅寺周辺参道の精進料理が起源、
とされている(仝上)。
湯豆腐はもともとお坊さんの精進料理でした。いま有名な湯豆腐は昆布だしで豆腐をゆでて食べるのですが、当時のものは、焼き豆腐を煮たものでどちらかというとおでんみたいな感じ、
だとある(http://www.ryokan-yachiyo.com/ryokan-kyoto-yudofu.html)。
「南禅寺豆腐」といわれるものに、いくつかあって、天明二年(1782)刊の『豆腐百珍』には、
高津湯とうふ、
が載り、
ゆでた絹こし豆腐に熱い葛をあんかけにして芥子を添えます。南禅寺とも言います、
とある(http://www.toyama-smenet.or.jp/~tohfu/tofuhyakutin.html)。また、
京都東山名物の豆腐で、豆腐を小判型に切って、両面を油でキツネ色に焼いたものをいう、
ともある(たべもの語源辞典)。さらに、「南禅寺豆腐」には、
酒田市の南禅寺屋が発祥といわれている半球形の豆腐、
がある(https://gurutabi.gnavi.co.jp/i/i_1000838/)。これは、
酒田市南禅寺屋の祖先がお伊勢参りの途中で病気になり、路銀を使い果たしたため、京都の南禅寺で住み込みで働いた。そこで丸く軟らかい豆腐に出合い、その作り方を学んだ後、庄内で「南禅寺豆腐」として売り始めた、
といわれている(https://gurutabi.gnavi.co.jp/i/i_1000838/)。現在、南禅寺から商標「南禅寺どうふ」の使用許可を得た店は、唯一、
南禅寺豆腐屋服部、
とある(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%97%E7%A6%85%E5%AF%BA%E8%B1%86%E8%85%90)。
その他、「南禅寺」の名のついたものに、
南禅寺蒸、
がある。
豆腐を当たって漉し、卵白を加えてすり混ぜ、だしを加え好みの材料(麸、銀杏、鶏肉、青味など)を入れて茶碗蒸しの器などで蒸し上げる。蒸しあがったら葛あんをかけてワサビを天盛り、
とある(https://temaeitamae.jp/top/t2/kj/992_R/032.html)。
(南禅寺蒸し(鰆、豆腐、木耳、人参、百合根、銀杏、山葵) https://www.recipe-ru.com/nanzenji-musi-sampleより)
なお、江戸時代を通じて評判だった豆腐料理に、南禅寺前の湯豆腐の他、
京都の八坂神社鳥居前の茶屋で出された「祇園豆腐」という木の芽田楽、
がある(https://souda-kyoto.jp/knowledge/culture/tofu.html)。
参考文献;
清水桂一『たべもの語源辞典』(東京堂出版)
ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95
ラベル:南禅寺揚