2021年04月16日

苞豆腐


「苞豆腐(つとどうふ)」は、

水切りした豆腐をすりつぶし、棒状にして、わらづとなどに入れ、固く締めて蒸したもの、

とあり(広辞苑)、

菰(こも)豆腐、

とも(仝上)、

しの豆腐、

ともいう(たべもの語源辞典)、とある。というのは、

わらの他にイグサやシノなどを束ねたつとを使うから、

とあるhttps://kondate.oisiiryouri.com/japanese-food-tsutodoufu/

苞豆腐.jpg

(苞豆腐 http://www.zouni.jp/tsuto/より)

つとどうふ.jpg

(小口切にした苞豆腐 http://www.zouni.jp/tsuto/より)

「苞豆腐」には、

豆腐の水をよく絞ってから、甘酒をすりまぜ、棒のようにして、竹簀(タケス)で巻いたものを蒸し、小口切りにして出す、

あるいは、

豆腐一丁に、つくね芋をひとかぶおろして、豆腐の水気をよくしぼったものとすり合わせ、小麦粉を少し交ぜ、藁に巻き、湯煮してから煮しめ、切って用いる、

あるいは、

豆腐を絞って、葛粉をいれて、すり鉢ですって、布に包んで苞に包み、蒸してから、苞を採って生醬油で煮る、油で揚げることもある、

あるいは、

豆腐を手で崩して、納豆苞の中に詰めて、藁できっちり結び、塩を加えた湯の中でよく煮る。さめたところで取り出して、小口きりにする。それを出し、砂糖・醤油で煮ふくめ、煮汁の中に加える、

等々、さまざまな作り方、利用法がある(仝上)。

「苞」は、

苞苴、

とも当て(「苞苴」は「ほうしょ」とも訓む。意味は同じ)、

わらなどを束ねて物を包んだもの、

で、

藁苞(わらづと)、
荒巻(あらまき 「苞苴」「新巻」とも当てる)、

とも言う(広辞苑)が、「苞」には、

土産、

の意味がある(広辞苑)のは、

歩いて持ってくるのに便利なように包んできたから、

という(たべもの語源辞典)。土産の意では、

家苞(いえづと)、

ともいう(広辞苑)。「苞」は、また、

すぼづと、

ともいう(たべもの語源辞典)が、

スボというのはスボミたる形から呼ばれた、

かららしい(仝上)。

「苞」(つと)は、「つつむ」http://ppnetwork.seesaa.net/article/467683799.htmlで触れたことだが、

ツツム(包)のツツと同根、包んだものの意、

とある(岩波古語辞典)。

包(ツツ)の転(大言海)、
ツツムの語幹、ツツの変化(日本語源広辞典)、

と、「つつむ」とつながる。

苞に包まれだつと豆腐.jpg


参考文献;
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)
大槻文彦『大言海』(冨山房)
前田富祺編『日本語源大辞典』(小学館)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

posted by Toshi at 04:06| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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