2021年07月03日

白雨


「白雨」は、

はくう、

と読ますが、

しらさめ、

とも訓まし、

ゆうだち、

とも訓ます(雨のことば辞典)。ただ、

しろあめ、

と訓むと、

霙(みぞれ)、

を指し、冬の雨になる。

「白雨(はくう)」は、

白く見える雨、

とある(大言海・類語新辞典)。これは、

積乱雲から降ってくる夏の雨で、雨脚が太く強いため、雨滴が空中で分裂したり、地面に当たってしぶきとなるので、白く煙ったようになるところからその名がある、

とある(雨のことば辞典)。

歌川広重『東海道五十三次』より「庄野 白雨」.jpg

(庄野 白雨(歌川広重「東海道五十三次」)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%91%E9%9B%A8より)

李白の詩に、

白雨映寒山(白雨寒山を映(おお)い)、
森々似銀竹(森々として銀竹に似たり)、

とあり(大言海・雨のことば辞典)。「銀竹」とは、

光線を浴び、光輝いている雨、

の意であり、

強い雨脚に雲間からの光が当たり輝いている様子が、まるで銀色の竹のようだ、

というのである(雨のことば辞典)。

蘓武の詩にも、

黑雲翻墨未遮山(黑雲墨を翻して未だ山を遮らず)、
白雨跳珠亂入船(白雨珠を跳らせて亂れて船に入る)、

とある(字源)。あるいは、

明るい空から降る雨、

の意かもしれない(デジタル大辞泉)。「夕立」http://ppnetwork.seesaa.net/article/456384452.htmlについては触れたが、

俄雨(にわかあめ)、
村雨(むらさめ)、
驟雨(しゅうう)、
繁雨(しばあめ)、

等々もほぼ同義となる。

「村雨」は、

群雨、
叢雨、
不等雨、

とも書く

ひとしきり強く降ってはやみ、また降り出す雨、

で、

群れた雨https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%91%E9%9B%A8
群雨(むらさめ)、不等雨(むらさめ)の義(箋注和名抄・大言海)、
ムラムラに降って、降らぬところもあるところから(日本釈名・東雅)、
ムラのある雨、降ってもすぐやむ雨(日本語源広辞典)、

等々という雨の降り方の、

繁粗むら気な雨、

を指している(雨のことば辞典)。「村雨」は、

秋に俄に降り出す雨(日本類語大辞典)、

ともあり、必ずしも夏季と限定されたことばではない(雨のことば辞典)、とある。

「繁雨(しばあめ)」は、雨の降り方が、

一時断続的に激しく降る雨、

で、

屡雨、
芝雨、

とも当てる。「俄雨」「村雨」と同義である。

「俄雨」は、

俄に降ってきてすぐやむ雨(広辞苑)、

で、

早雨(そうう)、
急雨(はやさめ/きゅうう)、
懸雨(けんう)、
驟雨(しゅうう)、
過雨(かう)、

とも言う(広辞苑・大言海・雨のことば辞典)。「懸雨(けんう)」も、

急に降り出す雨、

だが、

「懸」はかかる、ぶらさがる、また枝や葉が垂れ下がったものをいう。雨が、急に降りかかる、

意である(雨のことば辞典)。「驟雨(しゅうう)」は、

夏の俄雨、

で、「夕立」と重なるが、歳時記などでは、

夕立と別に驟雨を詠む、

ことも多くなったとある(仝上)。

急に降り出して、間もなく止む雨、

という意味では、

通り雨、

も、「俄雨」と同義である。

雲の流れに沿って雨脚が通り過ぎていく雨、

であり、

つうう、

とも訓み、

過雨(かう)、

ともいう。

俄に、ひとしきり降る雨、

でもあるが、

雨が通り過ぎるように降る、

という意味でもある(雨のことば辞典)。

山下白雨.jpg

(山下白雨(さんかはくう)(葛飾北斎「富嶽三十六景」) 山頂は快晴、山麓は一瞬の稲妻 https://www.adachi-hanga.com/ukiyo-e/items/hokusai049/より)

なお、「白驟雨(はくしゅうう)」は、

雨脚を白くしぶかせて降る秋の驟雨、

になる(雨のことば辞典)。また、

黒雨(こくう)、

というと、

真っ黒な雨雲から降ってくる雨、

で、

空が暗くなってしまうような土砂降りの雨や豪雨、

を指す(仝上・精選版日本国語大辞典)。

因みに、「あめ」http://ppnetwork.seesaa.net/article/459999594.htmlで触れたように、「雨」の語源は、大別すると、

「天(あま)」の同源説、

「天水(あまみづ)」の約転とする説、

にわかれる。しかし、

雨が多く、水田や山林など生活に雨が大きく関係している日本では、古くから雨のことを草木を潤す水神として考えられた。雨が少い場合は、雨乞いなどの儀式が行われ、雨が降ることを祈られた。「天」には「天つ神のいるところ」との意味があり、そのため雨の語源と考えられている、

とあるhttp://www.7key.jp/data/language/etymology/a/ame2.htmlように、「天」そのものと見るか、その降らせる水にするかの違いで、両者にそれほどの差はない。雨は、

天(アメ、アマ)と共通の語源、

であり、

アマ(非常に広大な空間)から落ちてくる水、

である(日本語源広辞典)。

参考文献;
倉嶋厚・原田稔編『雨のことば辞典』(講談社学術文庫)
大槻文彦『大言海』(冨山房)
前田富祺編『日本語源大辞典』(小学館)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

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